画壇が封印した狂気の鬼才,齋藤富蔵「真珠貝と鳥かげ」40号,デュシャン系の前衛的文脈,驚異の造形,彫刻的激鬼マチエル,宇都宮美術館出品作

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Description


画壇が封印した狂気の鬼才,齋藤富蔵「真珠貝と鳥かげ」40号ミクストメディア,驚異の造形力,彫刻的激鬼マチエル
ルネ・マグリット《大家族》を約6億円で購入へ導いた“日本屈指の大物キュレーター”が、生涯最後に選んだ作家
デュビュフェ級の物質的マチエール

無意識な夢 幻想 静寂のデペイスマン 
戦後の前衛「具体」「もの派」に続く邦人唯一の国際基準のシュール作家

 戦後日本の前衛を再編成する鬼才、齋藤富蔵「真珠貝と鳥かげ」約40号ミクストメディアを成行きにて出品いたします。

公立の名門・宇都宮美術館が2016年に約140点による大回顧展を開催した齋藤富蔵(1919-1985)の重要作品《真珠貝と鳥かげ》を出品いたします。

齋藤富蔵は長年市場流通がほとんど存在せず、近年になって再評価が始まった日本シュルレアリスムの異才です。
宇都宮美術館では大規模回顧展に加え、開館25周年記念展においてもマグリット、カンディンスキー、デュフィ、杉浦非水らと並び代表的収蔵作家として紹介されています。

海底と宇宙が交差する幻想世界
本作《真珠貝と鳥かげ》は、齋藤富蔵が成熟期に到達した独自の詩的シュルレアリスムを象徴する秀作です。
静かに輝く白い真珠貝。その傍らには鳥の影が浮かび上がります。
しかし画面は単なる静物画ではありません。
海底の堆積物にも見え、
宇宙空間の星雲にも見え、
生命誕生以前の原初世界を覗き込んでいるような不思議な感覚を与えます。

真珠貝は生命の記憶。
鳥は飛翔や精神性の象徴。
齋藤富蔵は日常に存在するモチーフを用いながら、それらを神話的な存在へと変容させています。

圧倒的なマチエール
本作最大の魅力は、その凄まじい物質感です。
画面全体には砂や樹脂を思わせる厚い絵肌が構築され、光の当たり方によって様々な表情を見せます。
平面作品でありながら、まるで浮彫や壁面レリーフのような存在感を持っています。

宇都宮美術館図録でも、この時代の作品群は齋藤富蔵独自の厚塗りマチエールが重要な特徴として紹介されています。
見る角度や光線によって印象が変化するため、実物は写真以上の迫力を備えています。

日本シュルレアリスムの異端
福沢一郎や古賀春江が日本シュルレアリスムの先駆者だとすれば、齋藤富蔵はその思想を独自の自然観と生命観によって成熟させた作家といえるでしょう。

巨大な蝶。森。牛。真珠貝。鳥影。
齋藤作品に登場するモチーフは、常に生命の循環と精神の変容という主題へ結び付いています。
本作もまた、その世界観を体現する重要な一作です。

約140点もの回顧展が開催されながら、長年ほとんど市場へ出なかった稀有な作家・齋藤富蔵。
本作《真珠貝と鳥かげ》は、
詩的シュルレアリスム
圧倒的な物質感
独自の生命観
深い精神性を兼ね備えた、富蔵芸術の本質に迫る重要作品です。


紀尾井町の弊社画廊でも展示中のため、店頭販売の際は出品を取り消す場合がございます。
ご検討、ご入札の程、どうぞよろしく御願い申し上げます。


作家名 齋藤富蔵
タイトル 真珠貝と鳥かげ  1969年 (図録Ⅱ-39)
 第15回一陽展出品
 「齋藤富蔵展」出品(2016年 宇都宮美術館)
図録P57掲載
技法 オリジナル 紙にミクストメディア 水彩、アルファメディウムや砂。のちパネルに裏打ち
サイズ 約P40号 102,4*69,1cm
額サイズ 106,5*73cm
サイン 右下にサインあり。
状態 作品良好。額良好。アクリル板なし。箱なし。薄い板が側面に貼ってあるだけなので額縁とは言えませんが裏板もあり吊ひもも付いております。
備考 真作保証します。送料9000円。
略歴

齋藤富蔵(さいとうとみぞう)

【黎明期・商業美術での全国制覇】

  • 1919年(大正8年):8月18日、栃木県宇都宮市大町(現・宮島町)の豪商「齋虎商店」の四男として生まれる。

  • 1932年(昭和7年):宇都宮市商業学校(現・栃木県立宇都宮商業高等学校)入学。画家・灰野文一郎が顧問を務める商業美術部に入部し、絵画の美に開眼。

  • 1936年(昭和11年):10代にして才能が爆発。宇都宮市の依頼による公式ポスターや二荒山神社菊水祭ポスターにデザインが次々と採用され市内全域に掲示される。同年、全国の商業学校が競った「第3回全国商業美術展覧会」(日本橋・白木屋)にて創作ポスター《オキシフル》が優秀賞(最高賞に次ぐ栄誉)を受賞。全国レベルのグラフィックセンスと画面構成力を確立する。

【修行期・中央画壇と水彩画への傾倒】

  • 卒業後:京都絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に学ぶ(のち中西利雄、荻野康児に師事)。洋画・水彩画の領域へ傾倒し、官展・画壇の既成概念にとらわれない独自表現を模索。

  • 1944年(昭和19年):《大谷石像》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。

【1960年代:水彩の概念を砕く“物質的マチエール”の革新】

  • 1960年(昭和35年):《大谷石採掘場》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。

  • 1961年(昭和36年):病を得て東京(京橋・谷中)から宇都宮へ帰郷。《さざえA》、《ペルシア壺》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。水性顔料に砂やメディウムを混入し、支持体に10ミリを超える凹凸や彫刻的線刻を施す「物質的マチエール」を確立。ジャン・デュビュッフェやアンフォルメル運動、パンリアル美術協会と同時代的に拮抗する重厚な画肌を生み出す。

  • 1964年(昭和39年):宇都宮にて初の個展を開催(案内状表紙に概念的傑作《壺中の天》を採用)。同年、《聖(宇都宮)》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。

  • 1965年~1967年:自身を「儚き蛾」に見立てた『自蛾像』シリーズを展開(《自蛾像.65》、《自蛾像.67》等)。

【1970年代:シュルレアリスムの開花と代表作『蝶と牛』】

  • 1976年(昭和51年):100号の大作《蝶と牛》(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品/同館所蔵級代表作)および《牛と蝶》を発表。「弱者(小さな蝶=自分)が不断の努力によって巨大化し、強者(牛=社会的権力)を見下ろす」という下剋上の反骨精神と、「対立から融和へ」の思想を100号の画面に結晶させる。

  • 1977年(昭和52年):《牛と蝶と》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。

【1980年代~1990年代:「深山シリーズ」と幽玄の極致】

  • 1981年(昭和56年):奥日光の自然に没入し、代表的連作「深山シリーズ」を開始。名作《冬の詩》を制作(宇都宮美術館蔵)。

  • 1985年?1986年:キャンバスに密生する無数の点描・微細な筆触を重ねる技法で《幽玄風翔》、《幽玄雷翔》、《幽玄夏翔》、《幽玄秋翔》を相次いで発表(すべて宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。画面内に「結界(不浄を禁ずる布)」や「パラシュート」を配し、自然破壊を進める人間社会へ警鐘を鳴らす。

  • 1993年(平成5年):1月、教え子らの尽力により30年ぶりとなる回顧個展を開催。同年4月2日、73年の生涯を閉じる。

【没後・公的な再評価】

  • 2016年(平成28年):宇都宮美術館にて大規模回顧展「齋藤富蔵展」が開催。初期のポスター・マチエール期から100号の『蝶と牛』、晩年の『深山シリーズ』まで代表作約140点が一堂に展観され、日本の戦後美術史における「隠れた巨匠・和のマグリット」として不動の評価を確立する。

マチエールの変遷

〇1960年代:水彩とは思えない“厚塗り期”
水彩画の常識を完全に逸脱した“油彩的厚塗り”。
紙に砂・顔料・アクリルを混ぜた重層的な画肌。
自蛾像・真珠・静物など、モチーフの質感を執拗に追求。ガサガサした物質感
斎藤富蔵の“唯一無二の画肌”が確立した時期。
〇1970年代中期:風景+寓意の“転換期”
奥日光の風景を背景に、牛・蝶・蛾などを大きく描く新シリーズへ移行。マチエールは“厚塗り → しっとり水彩”へ変化。
木枠にキャンバスに水彩という異例の技法を多用。絵肌は薄く、光沢がなく、浸透するような質感。
物質感よりも“寓意性・構成力”が前面に出る。 《牛と蝶》はこの時期の代表作。
〇 1980年代:深山シリーズの“幻想的水彩期”
奥日光の自然を幻想的に描く「深山シリーズ」へ。
マチエールはさらに“透明・柔らかい水彩”へ移行。木枠にキャンバスに水彩
厚塗りはほぼ消え、精神性・静謐さが中心。
自然破壊への警鐘という社会的メッセージが強まる。絵肌は最も薄く、静謐で、詩的。 

美術史上の再検証を考えるうえで重要な記録 出典:全国美術館会議『ZENBI』Vol.10(2016年)

2016年、宇都宮美術館では「齋藤富蔵展」が開催されました。

齋藤富蔵は、長年にわたり広く知られた作家ではありませんでした。しかし、同展を実際に鑑賞した美術関係者からは、その作品について極めて注目すべき評価が示されています。全国美術館会議の機関誌『ZENBI』Vol.10では、同展について紹介され、図録巻頭論文における宇都宮美術館・谷新氏の見解として、齋藤の表現について、「従来の美術史の水準では語りえない独自の表現」との評価が紹介されています。さらに、齋藤については、「戦後美術史にこれまで看過されてきた表現性と問題意識」を持つ作家として論じられ、今後の検証によって、戦後美術史に新たな解釈の切り口と可能性をもたらすことが期待される、という趣旨の考察が掲載されています。また、同誌でこの展覧会を論じた足利市立美術館・江尻潔氏も、齋藤の作品について、既存の美術史の主流とは異なる魅力や、同時代の「はやり」に流されなかったことによって生まれた強いメッセージ性に注目しています。

そして、既存の評価軸だけでは捉えきれない作品を見いだすためには、今後「さまざまな尺度」が必要であるとの考察へとつながり、既に評価されている作家と、これまで見落とされてきた作家が新たに結び付くことで、美術史に新しい「星座」が描かれていく可能性が示されています。これは、単に「知られていない地方作家」という一面的な評価ではありません。

2016年の時点で、全国美術館会議の機関誌において、齋藤富蔵という作家の表現が、既存の戦後美術史の尺度だけでは十分に位置づけられない可能性が、専門家によってすでに指摘されていた。
本作品をご覧いただく際には、現在の市場での知名度だけではなく、こうした既存の美術館・美術関係者による評価も含め、作品そのものをご自身の眼でご判断いただければと思います。

齋藤富蔵の作品が、これからどのような美術史的位置を与えられていくのか。
その可能性を考えるうえでも、2016年の展覧会と、それをめぐる当時の批評は重要な記録の一つです。
そして、これは私自身の評価を押しつけるためのものではありません。
2016年の時点ですでに、美術館関係者によってこうした問題提起がなされていました。ぜひ現在の作品を、皆様ご自身の眼で実際にご覧いただければと思います。

TOMIZO SAITO (1919-1993)Shinjugai to Torikage

TOMIZO SAITO (1919-1993)
Shinjugai to Torikage (The Pearl Oyster and the Shadow of a Bird)
PROPERTY FROM A DISTRIBUTOR / PRIVATE COLLECTION
  • About this Artwork
    Executed in 1969, Shinjugai to Torikage (The Pearl Oyster and the Shadow of a Bird) is an exceptional, museum-quality masterwork from the definitive post-war era of Japanese surrealist Tomizo Saito. Spanning a commanding size 40-Gou scale, this composition stands as a poignant visual poetry of dpaysement (surrealist dislocation), confronting a luminous, heavily encrusted organic form of a pearl oyster with the ethereal, silent silhouette of a bird's shadow.
    The formal brilliance of this piece lies in its astonishing, highly tactile multi-layered topography. Utilizing his pioneering mastery of Turner Alpha Color synthetic resin mixed with sand and volcanic pigments, Saito transforms the paper support into a petrified, gemstone-like crust. The contrastingマチエール (matire) is spectacular: the radiant white oyster on the left is heavily built up into an embossed, mineral relic that catches the shifting light, while the dark shadow of the bird on the right appears almost embedded into the prehistoric-looking deep blue and emerald-green geological strata of the background.Reflecting what the art critic Arata Tani lauded as an uncompromising avant-garde vision that completely bypassed Japan’s commercial gallery trends, Shinjugai to Torikage captures an intense philosophical inquiry into the weight of existence, memory, and nature. Having been triumphantly showcased at the historic 2016 retrospective at the Utsunomiya Museum of Art, this work offers a magnificent example of Saito’s unparalleled ability to fuse Western surrealist theories with a sublime, deeply spiritual Eastern mysticism.The work is signed lower right and is housed in a minimalist studio strip-frame (wooden batten on the edges with a backing board and hanging cord). Authenticity is unconditionally guaranteed.
  • Provenance
    Acquired directly from the artist's estate.
    Tsukuba Shokai Gallery, Japan.
  • Literature
    Ichiyoh-kai Association Exhibition Catalogue: The 15th Annual Exhibition, Tokyo, 1969.
    Tomizo Saito Retrospective, Utsunomiya Museum of Art, Tochigi, 2016, p. 57, illustrated under cat. no. II-39.
  • Exhibition
    Tokyo, Tokyo Metropolitan Art Museum, The 15th Ichiyoh-kai Exhibition, 1969.
    Tochigi, Utsunomiya Museum of Art, Tomizo Saito Retrospective, 2016.
Saleroom Notice / Technical Specifications:
  • Artist: Tomizo Saito (齋藤 富蔵)
  • Title: Shinjugai to Torikage (The Pearl Oyster and the Shadow of a Bird) / 真珠貝と鳥かげ
  • Date: 1969
  • Medium: Mixed media (including watercolor, synthetic resin medium, and sand) on paper, later mounted on panel
  • Dimensions: Image: 102.4 x 69.1 cm (40.3 x 27.2 in) | Canvas/Panel Size: Approx. 40-Gou (P40 Format variant)
  • Framed Dimensions: 106.5 x 73.0 cm (41.9 x 28.7 in) with a basic studio strip-frame
  • Signature: Signed lower right
  • Condition: Excellent vintage condition, structurally sound; paper support is backed on a sturdy panel. Minimalist edge-strip frame is intact with backing board and hanging wire attached (no acrylic glass, no box).
お願いご入札の際は以下のお願いを同意されたお客様のみご参加お願い申し上げます。
1、コンディションは出品者と認識に相違が発生する場合がございますので、ご下見可能な弊社画廊で下見されたものとみなし説明内容に関わらず落札後のキャンセルおよびクレームは一切お受け致しません。
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3、落札金額のお支払いは、ご落札日より2日以内に願います。もしご確認できない場合、キャンセルとみなし「とても悪いの評価」がつきますことご容赦下さいませ。
4、出荷はご入金ご確認次第、3日以内に出荷致します。お取り置きはご入金後3日までと致します。
5、真作を保証いたします。所定鑑定人より贋作と判断された場合、ご送金されました落札代金、それに掛かる消費税、送料を返金します。尚、保証期間はご落札日より90日と致します。
6、弊社画廊に展示中にてご入札を頂く前は画廊で売却する場合がございます。ご入札を頂き次第お取り置き致します。
下見以下でご下見になれます。
筑波商会画廊 千代田区紀尾井町3-30-1F TEL03-3221-0845 
営業時間 平日10時~17時 土日はおやすみ。

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