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アッコちゃんの時代初版 林真理子
男を奪ったことはない。男が私を求めるのだ――煌くバブル期、金と名誉ある男を次々虜にし、女たちの羨望と憎悪を一身に浴びた女子大生を描く恋愛長篇。
レビューより
昭和のバブル期をたくましく生き抜いた北原厚子、通称アッコちゃんの物語である。本書は実話を基に構成されており、林真理子の巧みな小説手法がバブル経済の時代を見事に表現している。
物語は東京西新宿の地上げの帝王と呼ばれる早川(モデルは、早坂太吉)との出会いから始まる。早川は50歳で、厚子の後輩の母親の紹介で会うこととなった。厚子は当時19歳の女子大生である。銀座のやり手ママである厚子の後輩の母親は、早川の内縁の妻だった。カマキリママとも言われる。早川は山形弁の風貌の地味な男であるが、不動産業界では有力なやり手である。彼は積極的に娘の年ほどの厚子に近づき、厚子は「銀座のママから地上げの帝王を奪った女子大生」として週刊誌に騒がれることとなった。
早川は土地の値上がりにより莫大な資金を得ており、不動産業界で全国第3位の規模に拡大していた。西新宿の土地を20億円で買い、その後東京都庁の移転により470億円で売却し、多大な利益を上げている。彼は女好きでギャンブルも好み、競走馬を約300頭所有しているほどである。早川の会社はホテル11軒、ゴルフ場、病院などの運営も手がけていた。
厚子の1番の親友奈美は、実際は尾崎豊の嫁だった。本書では、流行らない歌手とされている。
そんな中、厚子はお気に入りのイタリアンレストラン「キャンティ」のオーナー兼、最新の音楽を手掛けるプロデューサーである五十嵐英雄(モデルは、川添象郎)に出会う。五十嵐はユーミン(松任谷由実)やYMOのプロデューサーも務めた人物で、妻と子供二人を持ちながらも、厚子に積極的にアプローチをかける。実際、妻は風吹ジュンである。五十嵐は厚子をフランスやイタリアに連れて行き、彼女に似合う服を選ぶ中で、厚子は自信をつけていく。そして、厚子は1年契約の愛人関係を結び、さまざまな有名人と交流するようになる。結果として、厚子は風吹ジュンからの略奪を果たし、やがて妊娠するに至る。その後、五十嵐は風吹ジュンと離婚し、結婚には至らないものの、子供を認知するにとどまる。
また別の場面では、厚子はIT企業の社長から惚れられる。まさにかつての日本の昭和のバブルの栄華と華麗さの上澄みを巧みに捉えた作品である。林真理子の小説手法の筆力に、ザブトンをあげたい。
バブル時代の波に乗って、蝶のようにヒラヒラと華麗な青春を送った一人の女性の回顧記なのかな。そんな華麗な人生を送れなかった身としては、羨ましい限りですが、蝶さんは蝶さんなりに不満も苦労もあったみたいで、それを今、林真理子さんが上手く、上手く誘導して小説にして読ませてくれることは、当時への懐かしさもあり、感慨深いです。ガロや荒井由実の曲をかけながら読みたいですね。
あの時代の空気感、街並み、ファッションなどが鮮明に思い出されます。とても懐かしく、臨場感のある描写がされていると思います。さすが林真理子さん。