齋藤富蔵,トマトシリーズ下絵15枚のスケッチブック,カゴメ創業者蟹江一太郎の魂ここにあり,マヤ文明,トマト王の再生,産業史重要資料

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齋藤富蔵,トマトシリーズ下絵15枚のスケッチブック,カゴメ創業者の魂ここにあり,マヤ文明,トマト王の再生,産業史重要資料
ルネ・マグリット《大家族》を約6億円で購入へ導いた“日本屈指の大物キュレーター”が、生涯最後に選んだ作家
無意識な夢 幻想 静寂のデペイスマン 
戦後の前衛「具体」「もの派」に続く邦人唯一の国際基準のシュール作家

 戦後日本の前衛を再編成する鬼才、齋藤富蔵の素描のスケッチブック15枚を成行きにて出品いたします。

本資料は単なる素描集ではありません。
宇都宮美術館で約140点の大回顧展が開催された齋藤富蔵の代表作群「トマトシリーズ」が、どのように構想され、完成作品へ発展していったかを示す極めて重要な創作資料です。

トマトシリーズ誕生の瞬間
齋藤富蔵の代表作のひとつに、《トマト(幻)》をはじめとする「トマトシリーズ」があります。
それらは単なる静物画ではなく、カゴメ創業者・蟹江一太郎氏への敬意と追悼から生まれた壮大なオマージュ作品群でした。
本スケッチブックには、その構想過程が克明に残されています。
掲載画像をご覧いただくと分かるように、

・パレンケ遺跡の石棺を想起させる構想
・仮面や石碑の配置研究
・トマト人間とも呼ぶべき独創的イメージ
・巨大トマトと蛇口を組み合わせた象徴表現
・波紋やミルククラウンの配置計算
などが何度も推敲されています。
完成作品だけでは見えない、作家の発想と試行錯誤の軌跡が生々しく記録されています。

なぜ重要なのか
完成作品は多く残っています。
しかし完成作品へ至る思考過程は通常失われます。
本資料は、齋藤富蔵という作家がどのように発想し、構図を組み立て、世界観を構築したかを直接示す資料です。
作品を所有する喜びとは異なり、創作そのものを追体験できる点に大きな価値があります。

宇都宮美術館が再評価した作家
藤富蔵は長年ほとんど市場流通がなかったにもかかわらず、2016年に宇都宮美術館において約140点による大回顧展が開催されました。

さらに2020年の開館25周年記念展では、マグリット、カンディンスキー、デュフィ、杉浦非水らと並び、美術館を代表する収蔵作家の一人として紹介されています。
また展覧会にあわせて分厚い図録が制作されたことも特筆すべき点です。

無名作家にここまでの検証と記録が行われることは極めて稀であり、学術的評価の高さを物語っています。

素描としても圧巻
資料的価値だけでなく、純粋な素描作品として見ても極めて高水準です。
対象を把握する観察力、立体感、構成力は圧倒的であり、後の大作群を支えた画力の高さが随所に現れています。

私は長年多くの近代洋画家や前衛作家の素描を扱ってきましたが、本スケッチブックの完成度には驚かされました。
完成作品の価格や市場評価とは別次元で、本資料は齋藤富蔵という作家の創作の源泉を示す一次資料です。
作品ではなく、作家の思考そのものに興味を持たれる方におすすめいたします。

紀尾井町の弊社画廊にて展示中の為、ご入札を頂く前にお店で販売した場合、削除いたしますことご容赦くださいませ。
ご検討、ご入札の程、どうぞよろしく御願い申し上げます。


作家名 齋藤富蔵
タイトル スケッチブックの素描15枚
 「齋藤富蔵展」出品(2016年 宇都宮美術館)
 図録P59,P60,P63掲載。
技法 紙に鉛筆や水彩など
サイズ 32*41cm
額サイズ なし
サイン 翡翠のお面の素描にサイン、印あり。その他鉛筆素描1枚のみ鉛筆サインあり。
状態 作品のコンディションは画像をご参考に自己責任にてご判断お願いします。紙にしみがある作品あり。
備考 真作保証します。画像の図録は付きません。送料2000円。
略歴

齋藤富蔵(さいとうとみぞう)

【黎明期・商業美術での全国制覇】

  • 1919年(大正8年):8月18日、栃木県宇都宮市大町(現・宮島町)の豪商「齋虎商店」の四男として生まれる。

  • 1932年(昭和7年):宇都宮市商業学校(現・栃木県立宇都宮商業高等学校)入学。画家・灰野文一郎が顧問を務める商業美術部に入部し、絵画の美に開眼。

  • 1936年(昭和11年):10代にして才能が爆発。宇都宮市の依頼による公式ポスターや二荒山神社菊水祭ポスターにデザインが次々と採用され市内全域に掲示される。同年、全国の商業学校が競った「第3回全国商業美術展覧会」(日本橋・白木屋)にて創作ポスター《オキシフル》が優秀賞(最高賞に次ぐ栄誉)を受賞。全国レベルのグラフィックセンスと画面構成力を確立する。

【修行期・中央画壇と水彩画への傾倒】

  • 卒業後:京都絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に学ぶ(のち中西利雄、荻野康児に師事)。洋画・水彩画の領域へ傾倒し、官展・画壇の既成概念にとらわれない独自表現を模索。

  • 1944年(昭和19年):《大谷石像》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。

【1960年代:水彩の概念を砕く“物質的マチエール”の革新】

  • 1960年(昭和35年):《大谷石採掘場》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。

  • 1961年(昭和36年):病を得て東京(京橋・谷中)から宇都宮へ帰郷。《さざえA》、《ペルシア壺》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。水性顔料に砂やメディウムを混入し、支持体に10ミリを超える凹凸や彫刻的線刻を施す「物質的マチエール」を確立。ジャン・デュビュッフェやアンフォルメル運動、パンリアル美術協会と同時代的に拮抗する重厚な画肌を生み出す。

  • 1964年(昭和39年):宇都宮にて初の個展を開催(案内状表紙に概念的傑作《壺中の天》を採用)。同年、《聖(宇都宮)》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。

  • 1965年~1967年:自身を「儚き蛾」に見立てた『自蛾像』シリーズを展開(《自蛾像.65》、《自蛾像.67》等)。

【1970年代:シュルレアリスムの開花と代表作『蝶と牛』】

  • 1976年(昭和51年):100号の大作《蝶と牛》(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品/同館所蔵級代表作)および《牛と蝶》を発表。「弱者(小さな蝶=自分)が不断の努力によって巨大化し、強者(牛=社会的権力)を見下ろす」という下剋上の反骨精神と、「対立から融和へ」の思想を100号の画面に結晶させる。

  • 1977年(昭和52年):《牛と蝶と》制作(宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。

【1980年代~1990年代:「深山シリーズ」と幽玄の極致】

  • 1981年(昭和56年):奥日光の自然に没入し、代表的連作「深山シリーズ」を開始。名作《冬の詩》を制作(宇都宮美術館蔵)。

  • 1985年?1986年:キャンバスに密生する無数の点描・微細な筆触を重ねる技法で《幽玄風翔》、《幽玄雷翔》、《幽玄夏翔》、《幽玄秋翔》を相次いで発表(すべて宇都宮美術館「齋藤富蔵展」出品)。画面内に「結界(不浄を禁ずる布)」や「パラシュート」を配し、自然破壊を進める人間社会へ警鐘を鳴らす。

  • 1993年(平成5年):1月、教え子らの尽力により30年ぶりとなる回顧個展を開催。同年4月2日、73年の生涯を閉じる。

【没後・公的な再評価】

  • 2016年(平成28年):宇都宮美術館にて大規模回顧展「齋藤富蔵展」が開催。初期のポスター・マチエール期から100号の『蝶と牛』、晩年の『深山シリーズ』まで代表作約140点が一堂に展観され、日本の戦後美術史における「隠れた巨匠・和のマグリット」として不動の評価を確立する。

宇都宮美術館

宇都宮美術館は、地方自治体が運営する公立美術館(市立)の中で、コレクションの質、建築や環境の美しさ、そして企画展の独自性において全国トップクラスの極めて高い評価を得ています。また、所属する学芸員(キュレーター)のレベルも非常に高く、美術界において一目置かれる存在です。

〇20世紀美術とデザインを融合した屈指のコレクション
地方の「市立」美術館としては異例とも言える、世界的な名作を多数収蔵しています。
ルネ・マグリットの傑作《大家族》:同館のシンボルであり、日本の美術館にあるシュルレアリスム絵画の中でも最重要作の一つです。
モダンアートの巨匠たち:パウル・クレー、ワシリー・カンディンスキー、マルク・シャガールなどの優品を揃えています。
デザイン・グラフィック分野:20世紀のポスター、家具、プロダクトデザインの体系的な収集は、国内の公立美術館でも先駆的な試みとして専門家から高く評価されています。

〇 学術的にエッジの効いた「攻める企画展」
東京の大型美術館が開催するような「分かりやすい話題性」だけに頼りません。他館では真似できない、デザインや近現代美術の知られざる側面にスポットを当てた独自の巡回展を数多く企画し、全国の美術ファンや評論家を唸らせています。
〇 自然と調和した「うつのみや文化の森」の環境
広大な緑地公園(うつのみや文化の森)の中に佇む低層の建築は、美術鑑賞に最適な静謐な空間を提供しています。景観や居心地の良さも含めた「総合的なクオリティの高い美術館」として広く認知されています。私見ですが、東京国立近代美術館と宇都宮美術館のデザイン、サービスは国内屈指と思います。

〇学芸員(キュレーター)のレベルと実力 宇都宮美術館の学芸員チームは、日本の公立美術館界において「極めて優秀で研究熱心」と評されています。これも私見ですが、宇都宮美術館と足利市立美術館の学芸員さんのレベルは地方の美術館の枠を超えております。

〇質の高い「展覧会カタログ」の制作能力 展覧会に合わせて作られる図録(カタログ)の論文や資料の充実度は、学芸員のレベルを測る最大の指標です。同館の図録はデザインや学術的価値が非常に高く、美術史研究において重要な文献となるものが多数あります。私見ですが開館のタイミングで谷新イズムの継承ともいえます。
〇海外の美術館や研究者との太いパイプ マグリットをはじめとする海外の20世紀美術やデザイン史を扱うため、海外の美術館やコレクターと直接交渉し、作品を借り受ける国際的な交渉力とネットワークを持っています。

〇丁寧で深い作品解説と教育普及 専門的な知識を一般の来館者へ分かりやすく噛み砕いて伝える「エデュケーション(教育普及)」のレベルも高く、メディアの取材などでもその深い洞察力と言語化能力が度々称賛されています。

総評:宇都宮美術館は、「地方都市の市立美術館」という枠組みを大きく超え、日本のモダンアート・デザイン系美術館を牽引する重要な拠点として評価されています。これを支えているのが、予算を有効に使い、質の高い研究をベースにユニークな展示を展開されております。宇都宮美術館を開設準備から陣頭指揮された大物キュレーター、谷新館長のチャレンジングな精神は今も受け継がれております。是非、宇都宮美術館にお出かけになってみてください。

マチエールの変遷

〇1960年代:水彩とは思えない“厚塗り期”
水彩画の常識を完全に逸脱した“油彩的厚塗り”。
紙に砂・顔料・アクリルを混ぜた重層的な画肌。
自蛾像・真珠・静物など、モチーフの質感を執拗に追求。ガサガサした物質感
斎藤富蔵の“唯一無二の画肌”が確立した時期。
〇1970年代中期:風景+寓意の“転換期”
奥日光の風景を背景に、牛・蝶・蛾などを大きく描く新シリーズへ移行。マチエールは“厚塗り → しっとり水彩”へ変化。
木枠にキャンバスに水彩という異例の技法を多用。絵肌は薄く、光沢がなく、浸透するような質感。
物質感よりも“寓意性・構成力”が前面に出る。 《牛と蝶》はこの時期の代表作。
〇 1980年代:深山シリーズの“幻想的水彩期”
奥日光の自然を幻想的に描く「深山シリーズ」へ。
マチエールはさらに“透明・柔らかい水彩”へ移行。木枠にキャンバスに水彩
厚塗りはほぼ消え、精神性・静謐さが中心。
自然破壊への警鐘という社会的メッセージが強まる。絵肌は最も薄く、静謐で、詩的。 

美術史上の再検証を考えるうえで重要な記録 出典:全国美術館会議『ZENBI』Vol.10(2016年)

2016年、宇都宮美術館では「齋藤富蔵展」が開催されました。

齋藤富蔵は、長年にわたり広く知られた作家ではありませんでした。しかし、同展を実際に鑑賞した美術関係者からは、その作品について極めて注目すべき評価が示されています。全国美術館会議の機関誌『ZENBI』Vol.10では、同展について紹介され、図録巻頭論文における宇都宮美術館・谷新氏の見解として、齋藤の表現について、「従来の美術史の水準では語りえない独自の表現」との評価が紹介されています。さらに、齋藤については、「戦後美術史にこれまで看過されてきた表現性と問題意識」を持つ作家として論じられ、今後の検証によって、戦後美術史に新たな解釈の切り口と可能性をもたらすことが期待される、という趣旨の考察が掲載されています。また、同誌でこの展覧会を論じた足利市立美術館・江尻潔氏も、齋藤の作品について、既存の美術史の主流とは異なる魅力や、同時代の「はやり」に流されなかったことによって生まれた強いメッセージ性に注目しています。

そして、既存の評価軸だけでは捉えきれない作品を見いだすためには、今後「さまざまな尺度」が必要であるとの考察へとつながり、既に評価されている作家と、これまで見落とされてきた作家が新たに結び付くことで、美術史に新しい「星座」が描かれていく可能性が示されています。これは、単に「知られていない地方作家」という一面的な評価ではありません。

2016年の時点で、全国美術館会議の機関誌において、齋藤富蔵という作家の表現が、既存の戦後美術史の尺度だけでは十分に位置づけられない可能性が、専門家によってすでに指摘されていた。
本作品をご覧いただく際には、現在の市場での知名度だけではなく、こうした既存の美術館・美術関係者による評価も含め、作品そのものをご自身の眼でご判断いただければと思います。

齋藤富蔵の作品が、これからどのような美術史的位置を与えられていくのか。
その可能性を考えるうえでも、2016年の展覧会と、それをめぐる当時の批評は重要な記録の一つです。
そして、これは私自身の評価を押しつけるためのものではありません。
2016年の時点ですでに、美術館関係者によってこうした問題提起がなされていました。ぜひ現在の作品を、皆様ご自身の眼で実際にご覧いただければと思います。

斎藤富蔵HPhttp://www.olympianw.co.jp/saito.html へのリンク
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