フロントエンジン搭載のFRモデルだが、強化されたエンジン(後述)と、空力特性の最適化により、
最高速度は330 km/h以上に達する。日本での発表会にはスクーデリア・フェラーリの代表でフェラーリCEOのジャン・トッドが参加した。
2008年7月当時における日本での価格は3,458.7万円である。
ドライブトレイン
エンジンは575Mの5.7 L V12エンジンを改良したものではなく、エンツォフェラーリ用6.0 L V12エンジンをデチューンしたティーポF140Cである。
575M比では105PSの出力アップ、2.0kgfmのトルクアップを達成している。
導入当時、フェラーリの量産ロードカーの中で最もパワフルなモデルとなった。
また発売当時、このエンジンは、スーパーチャージャーやターボチャージャーなどの過給機を用いずに、
排気量1リットルあたり101 PSを超える出力を記録した数少ないエンジンの1つでもあった。
エンツォフェラーリで使用されていた元の仕様ではミッドマウントポジション構造により背が高く、
前方視界を遮ってしまうため、599のエンジンベイに収まるように設計が変更された。
トランスミッションは従来の6速MTと、新世代の6速セミATであるF1スーパーファストが用意された。
後者はパドルシフトを採用するとともに、575Mに搭載された、同じく6速セミATのF1マチックよりも変速時間が短縮されており、
シフト時間は標準で100ミリ秒、HGTEパッケージでは85ミリ秒を実現した。
ただし、日本にはF1スーパーファスト搭載車のみが導入された。生産されたMT車は全体でわずか30台、そのうち20台がアメリカ向けで、
10台がヨーロッパに残ったため、フェラーリは将来のGTカーにおけるMT仕様のラインアップの拡大を断念することになった。
599GTBフィオラノは、MTを装備した最後のV12エンジンを搭載したフェラーリとなった。
599は「F1 TRAC」と呼ばれる進化したトラクションコントロールも装備するが、オフにして走行することもできる。
走行中にタイヤの内圧や、タイヤの温度をリアルタイムで車内に表示することができる。
シャーシ
フェラーリGTカーで初となるアルミニウム製シャシーを採用しており、これは先代のスチール製チューブラーシャシーとは対照的だった。
新しいシャシーは剛性を高め、先代の575Mと比較して乾燥重量を1,690 kgと低く抑えている。
599は先代よりもホイールベースが長く、燃料タンクは後部の中央にマウントされて重量配分も変更された。
これによって、599の出力重量比は367 kg/PSとなっている。
空力
フラットフロアやリア下面のディフィーザーによってダウンフォースを調整している。
「フライング・バットレス」スタイルのアーチ型Cピラーは、リアセクションの周りに空気を流すことでダウンフォースをさらに促進し、
リアウイングなしでもスポイラーとして空力性能を発揮する。バットレスは当初、エクステリアデザイナーの
カストリオタによるスタイリングエクササイズによるものだった。
その空力効果は、フェラーリのエアロダイナミクス専門家であるルカ・カルディローラによって、風洞試験で証明された。
599は299 km/h で160 kgのダウンフォースを発生させる。
また、フロントとリアのボディパネルには機能的なブレーキ冷却ダクトがあり、ブレーキの冷却性能が向上している。
サスペンション ブレーキ
サスペンションはコイルとともに磁性流体セミアクティブダンパーを利用している。
ダンパーは、ダンパーリザーバー内の液体によって機能し、液体チャンバー内の磁場にさらされると、その粘度が変化する。
液体の機能は反応制御と安定性制御とともに、ステアリングホイールのノブを介して制御される。
599には鋳鉄製ブレーキが標準装備され、カーボンセラミックブレーキ(当時のロードカーではほとんど利用されていなかった技術)が
オプションとして用意された。ローター径はフロントが398 mm、リアが360 mmである。