[商品概要]
昭和29年(1954)発売 モノバンド(中波)ST管 トランス式5球スーパーです。
寸法と重量:幅460高250奥195mm(ツマミ等、突起物を含まない) 重さ:約5.5kg スピーカー:7インチ(18cm) 1個
真空管構成:6WC5/UZ-6D6/6Z-DH3A/6Z-P1/KX-12F/6E5
【ナナオラ】大正8年(1919)創業、1960年代前半に東芝の傘下に入り、消滅
ナナオラのラジオは、バリコンやスイッチはアルプス、
スピーカーはパイオニアからと専業メーカーから調達しています。
どうでもよい情報かもしれませんが、
本機の場合、IFT(製造メーカー不明)とパイオニア製のスピーカーが、
このラジオの個性に大きな影響を与えていると思いましたので、お伝えすることにしました。
木製キャビネット機としては小さい方だと思います。邪魔にならない程よい大きさという印象です。
パネルデザインは左にスピーカー、右にダイアル面と操作部という、
「他メーカーにも似たようなデザインのラジオがあったなぁ~」と思われた方も多いと思います。
逆に言えば、当たりはずれの少ないレイアウトという事かもしれません。
ただ、本機はダイアル面にトーンコントロールの表示ランプを備えていて、
他メーカー機との差別化を図っているようです。(HIGH→青 MEDIUM→緑 LOW→赤)
内部はST管ラジオのスタンダードな真空管構成で、回路的にも回路図だけ見ると、
音質調整を電圧増幅部ではなく、電力増幅部で行っている以外は標準的な回路です。
電力増幅を担っている6Z-P1は1W程度(Eb:180V時)の出力しかありませんが、
本機に搭載されているパイオニア製のスピーカーは、けっこう能率(出力音圧レベル)が高いようで、
小出力でもかなり大きな音で鳴ってくれます。音量不足を感じることは無いと思います。
私は、このスピーカーの能率は94dBはあると睨んでいるのですが(^^;)
※[Coffee Break]【スピーカーの能率(出力音圧レベル)と音量の関係】参照
結局、このラジオは何か突出した特徴等は無いものの、実用に十分な性能と、
少しばかり目を楽しませてくれるデザインを持ったラジオ。と言ったところでしょうか。
ただ、整備にあたって、低周波増幅部に少しばかり手を加えていますので、
音質面ではかなり改善されています。
出来るだけ長く使えること、実用的であることを念頭に整備しました。
正しい整備、調整を行ったかどうかは、各種測定をもって可能な限り客観的に検証しています。(写真⑤~⑦⑫~⑱)
写真の後、整備内容等を記します。[基本説明]と[補足説明]という構成です。
[補足説明]は[基本説明]で記述した事の技術的データと詳細、根拠を提示しています。
まず、[基本説明]を読んでいただき、ご自分に必要な項目だけ[補足説明]を読んでいただければ結構です。
気になる点があれば、遠慮なくご質問下さい。
---------------------------------------------[基本説明]---------------------------------------------【外観上の留意点】[キャビネット]
塗装の剥離中にサンダーの振動で、いくつかの部材が剥がれ落ちてしまいました。
もちろん再接着しましたが、その際、はみ出たボンドのふき取りが不十分だったようで、
ステインが乗らない箇所が出来てしまいました。
修正できるところは修正しましたが、部材の継ぎ目等に着色が不十分な所があります。(写真⑧)
側面は2枚の突板を貼り合わせてあるのですが、継ぎ目が見えます。特に右側面ははっきり見えます。(写真⑨)
多少、塗りムラや着色斑があります。
[フロントパネル]
下部のゴールドの部分はかなり擦り切れていましたので、再塗装しました。
オリジナルのバックパネルは、ラシャ紙を貼ってあったのですが、
シミが酷く、一応シミ抜きを試みたのですが、やはり紙ですから溶けてしまいました。(^^;)
結局、プライマーで下地処理後スプレー塗装しました。
[スピーカーネット]
こちらもシミが酷く、ほつれも進行していましたので、貼り換えました。
※「チェリーベージュ」という色で、お使いのモニターによっては、
赤っぽく見えるかもしれませんが、実際はそれ程赤みは強くありません。
【電気関係の留意点】
電気関係では無いのですが、チューニングシャフトが摩耗しているようで上下左右に少し揺れます。
機能的には問題ないのですが、操作フィーリングは余り良くありません。
それ以外の留意点はありません。
【整備内容】[キャビネット]
塗装剥離後、下地調整、着色(ステイン 色はウォルナット)、ウレタンニス重ね塗り
半艶仕上げ(艶ありニスと艶消しニス混合)
艶仕上げにするか半艶仕上げにするか迷ったのですが、
最終的に半艶仕上げを選択しました。
最初は少し地味に見えるかもしれませんが、
使っているうちにしっくりと馴染んでくると思います。
また、艶仕上げより、指紋が付きにくい、軽い打痕程度ならあまり目立たない
という点も半艶仕上げを選択した理由です。
[フロントパネル]
洗浄後、コンパウンド研磨しています。
下部のゴールドの部分は再塗装です。
[バックパネル]
ラシャ紙を剥がしてスプレー塗装
[スピーカーネット]
音響用ジャージクロスに貼り換え
バッフル板は黒で塗装しました。
[ツマミ]
洗浄後、トップキャップ(ゴールドの部分)をコンパウンド研磨、クリアー塗布
[シャーシ]
見た目は汚い(^^;)ですが、主成分がリン酸のサビ除去剤で洗浄しました。
サビの除去だけでは無く、防錆被膜を作る効果もあるようです。
【内部】
局発のパッティングコンデンサー1個は検査して再利用、
その他のコンデンサー(電解コンデンサー含む)、抵抗、配線は全て交換しています。
[その他の交換部品]
音量調整ボリューム/バリコンの防振ゴム/ダイアル糸/ACプラグ付コード(PSE規格)/ヒューズ/真空管
※元々真空管無の状態でしたので、真空管はすべてストックしていた検査済み中古品です。
真空管以外の交換部品は新品を使用しています。
音量調整ボリュームの交換に伴う軸のパイプ接続には、2液エポキシと真鍮のノックピンを併用していますので、
接着がとれて空回りする様なことはありません。(写真④)
また、スイッチ部は接点改造を行っています。(a接点→c接点)(写真④)
[その他の整備内容]
電源+音質切替スイッチは分解、洗浄(写真②)
バリコン洗浄/バリコンの軸受け部、ダイアル機構のグリスアップ/指針ガイド洗浄、研磨、マシン油塗布
真空管ソケット、真空管ピンの洗浄(写真③)
【新たに付け加えた機能】[外部入力用ラインアンプ](写真①)
トランジスタ 1石のシンプルな電圧増幅用アンプです。
外部入力機器からの信号を約3倍に増幅します。
このアンプは、本来10倍の増幅度を持っていますが、本機に搭載されているスピーカーの能率が高い為、
10倍では小音量時の調整がやりずらく、増幅度は3倍に設定しました。
[マジック・アイ用タッチスイッチ](写真①)
マジックアイを点灯、消灯させる為のスイッチです。
チューニングツマミの右上にタッチパッドがあります。(写真⑩)
タッチパッドにタッチする毎に点灯→消灯→点灯と切り替わります。
ラジオの電源を入れた時はマジック・アイはON(点灯)で立ち上がります。
また、無接点(オープンコレクタ)なので、接点不良は発生しません。
[ダイアル面の照明をパイロットランプからLEDに換装]
2個の広角パワーLEDに換装しました。
[音質表示をパイロットランプからLEDに換装]
カラーフィルターで、青、緑、赤を表示しているのですが、パイロットランプですと、
どうしても黄色っぽくなってしまいます。
ここで使用しているLEDは発光色自体が青、緑、赤ですので、彩度の高い表示になっています。
ダイアル面のLEDと共に、ほぼメンテナンスフリー(今後交換の必要なし)です
[外部入力端子]
3.5mmステレオミニジャックに換装(出力はモノラル)
スマートフォンやミュージックプレーヤー等、携帯端末の接続を想定しています。
Bluetoothレシーバーも問題なく使用できます。
音量調整は、外部機器側で行います。ラジオ側の音量は最大に固定されます。
本機は入力電圧約120mVで無歪最大出力(0.56W)を出せます。
搭載スピーカーの能率が高いので入力感度は低めに設定しています。
※Bluetooth機器(レシーバーも含む)は、技術基準適合証明、または工事設計認証を取得している製品の使用をお勧めします。
(電波法第38条の6第1項、38条の24第1項)
[イヤホーンジャック]
本機にイヤホーンジャックはありません。
【調整等】
目視による配線チェック/各部電圧チェック(回路図に記載)/IFT調整(写真⑫⑱)/
トラッキング調整/単一調整(1400kHzで感度最大)
5球スーパーを、単純な回路だとおっしゃる方もいらっしゃいますが、
本来持っている能力を十分引き出そうとすると中々大変です。
一例として周波数変換回路に於いて、
変換コンダクタンスがピーク値近傍にあるか確認作業をしている様子と、
取得したデータをお見せします。(写真⑲)
周波数変換回路が効率良く働いているかどうかは、受信感度に直結します。
[受信感度](写真⑬)
540kHz~1500kHzまではmT管と同等の感度が出ています。
1500kHz~1600kHzで少し感度が低下しますが、極微電界級(100uV以下)の範囲内です。
本機のアンテナコイルは、ハイ・インピーダンス型です。
ハイ・インピーダンス型のアンテナコイルは、アンテナの長短に依る感度差がほとんどありませんので、
正しく調整されていれば、2~3m位の室内アンテナで、十分良好に受信できます。
[ハムに関して](写真⑫⑱)
周りが静寂の時、ボリューム最小でスピーカー正面から10cm以内の所でハムを識別できる程度です。
放送受信時には放送波、セットノイズに埋もれて、ハムは聞こえません。
[音質について](ラジオ放送受信時の音質)(写真⑭⑯)
わりとメリハリの効いた音で、ニュースの内容等は聞き取りやすいです。
音質調整は[MEDIUM]が聞きやすいと感じましたが、この辺は個人差があるでしょう。
(外部入力時の音質)(写真⑮⑰)
音源の質の差が割とはっきり出るようです。
たとえば、CDをWAVEファイルにリッピングした音源等は、
ご機嫌な音で鳴ってくれるのですが、
昔、受信状態が余り良くないFM放送を、カセットテープに録音していた音源等は
「あれ~」という感じです。(^^;)これは当たり前なんですが、
ラジオの外部入力程度では、それ程差は感じていなかったので、少し面喰いました。
「スピーカーの忠実度が良いという事かな」と思っているのですが、確証は持てません。
フラットな周波数特性、低歪率(約0.5% 50mW時)忠実度が良いと思われるスピーカーの組み合わせで、
音源の質がそこそこであれば、低音から高音までバランス良く、引き締まった音が出ます。
(試聴)
[中波帯(MW)]:NHK、地元ローカル局、近県の民放局がそれ相応の信号強度で受信できました。(付属の室内アンテナ使用)
NHKは熊本、福岡、佐賀、長崎の4局を受信できました。
(ランニングテスト)
2週間ほど使用していますが、不具合はありませんでした。大変安定しています。
(付属品)(写真⑪)
・室内アンテナ:簡単に脱着できる様、ピンコネクタを付けてあります。掃除の時など便利です。
・外部機器接続ケーブル(3.5mm⇔3.5mmステレオミニプラグ 90cm長で金メッキ、スリムプラグです)
・オリジナルの回路図、整備後の回路図(新規作成CAD図面 A4版)、糸かけ図
・簡単な取扱い説明書
※外部接続機器、Bluetoothレシーバーは付属品には含まれていません。
※糸かけ図は付いていなかった為、糸かけの順番がわかるようにした実際の写真を添付します。
出来るだけ長く使えるよう、私にやれることはやってありますが、製造後約70年を経た部品が残っています。永年の保障はできかねます。
電気的な不具合が発生した場合、概ね一ヶ月程度は初期不良として対応いたしますが、その後はご容赦下さい。
今後の修理、メンテナンスについては別途お受けしております。詳しくは取説をご覧下さい。
外観に関しましては、これ以上の術を持ち合わせていませんので、ご容赦願います。
※代理入札、転売されたものであった場合は、初期不良対応も含め、一切のサポートは出来ません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。(発送)
ヤマト運輸:送料元払い 120サイズ
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配達時間指定が必要な方は、お支払い手続きまでに[取引メッセージ]でご連絡下さい。
(こちらからは特にご案内は致しませんので、お忘れなく)
注意/caution/警告このラジオの電源は交流100Vです。交流220Vでは使えません。This radio is powered by 100V AC. It cannot be used with 220V AC.款收音机使用100V交流,不能用于220V交流---------------------------------------------[補足説明]---------------------------------------------【整備内容】[抵抗]
カーボン/酸化金属皮膜
[コンデンサー]
高周波回路:積層セラミック、温度補償型積層セラミック、ディスクセラミック、チタコン
低周波回路:積層セラミック、フィルムコンデンサー(ポリエステル/ポリプロピレン)
平滑回路用電解コンデンサー:カテゴリー温度105℃
ACライン間:安全規格 X2クラス認定品
[配線]
耐熱電線(UL3265:~150V) (UL1007:~300V)/リボン電線(DC24V以下) /(JIS 5色法に準ずる線色)
[その他の整備内容]
電源、音質切替スイッチは分解、洗浄
接点抵抗は30mΩ以下まで回復しています。(洗浄には接点復活剤は使用していません。)(写真②⑤⑦)
バリコン洗浄:Qは2000以上まで回復しています。(at 100kHz)(写真⑤⑦)
[真空管]
gm直読型真空管試験機でチェックしています。(写真⑤⑦)
検査項目:電極間絶縁/gm値(相互コンダクタンス)/Diode/Rect/ガステスト
マジックアイ(6E5)の輝度は60~70%位というところでしょうか。
昼間でもはっきり視認できます。
【本機の外部入力仕様】
・ラジオ/外部入力の切替回路 あり
・外部入力時、ラジオ放送の混入防止回路 あり
・音量は外部入力機器で調整
・ステレオ→モノラル変換:パッシブミキサーに依り外部接続機器を保護します。
(外部入力用ラインアンプについて)(写真①⑥)
2SC1815 1石 エミッタ接地 NFB無し(電流帰還あり) という、何の変哲も無い電圧増幅用のアンプです。
基板にはDC5Vのシリーズ式定電圧電源回路も載せています。
スマートフォン等の外部入力機器からの信号を約3倍(10dB)に増幅します。
アンプの入力インピーダンスは、外部入力機器出力インピーダンスに対して十分高く、(1~3:2000程度)
出力インピーダンスはラジオの外部入力インピーダンスに対して十分低くなります。(1:500程度)
今回のラインアンプは利得調整用のエミッタ抵抗(可変)に加えて、
ベース電圧を決めるベース抵抗も可変にし、
歪がもっとも少なくなる点に動作点を調整できるようにしました。
また、前回のラインアンプは帯域幅が成り行き任せで、不必要に広帯域だった為、
今回は入力カップリングコンデンサーの容量変更とローパスフィルターを追加し、
10Hz~40kHz程度の帯域幅になる様、回路変更しています。
最大出力電圧は1.0Vで、0.5V出力時の歪率は約0.1%です。
(本機のIFTについて)
本機の検波段のIFT(B)は単同調になっています。複同調と較べると選択度が落ちるのが普通です。
しかし、本機のIFTのコイルは何と、ハニカムの分割巻きになっています。(写真④)
分割巻きにする事で、線間容量(分布容量)を減らし、コイルのQを上げているわけです。
高いQを持つコイルは、失うエネルギーが少なく(低損失)、鋭い共振特性が得られますので、
単同調であっても、十分な選択度を持っているというわけです。
と言うより、IFT(A)(B)共、複同調のハニカム分割巻きにすると、素晴らしい選択度が得られる半面、
帯域幅が狭くなり、高音がカットされた「鼻づまり」の音になってしまいます。
通信機用なら問題ないのですが、ラジオのようにブロードキャストを受信する場合は、音質も重要になってきます。
結局、音質と選択度を両立させる為、このようなIFTを使ったのではないかと思います。
ハニカムの分割巻きは、巻き線構造が複雑で、製造コストは高いと思います。
[受信感度](写真⑬)
41uV(50mW/SN比20dB at1000kHz)[実測値]
[ハムに関して](写真⑫⑱)
広帯域測定で0.4mV、JIS-A測定(聴感フィルター有)で0.05mVです。
[音質について](写真⑭⑮⑯⑰)
ラジオ放送受信時の再生帯域幅
HIGH:60Hz~2.7kHz(-3dB)
MEDIUM:25Hz~1.8kHz(-3dB)
LOW:20Hz~1.3kHz(-3dB)
外部入力時の再生帯域幅
HIGH:70Hz~8.2kHz(-3dB)
MEDIUM:25Hz~4.3kH(-3dB)
LOW:25Hz~1.4kHz(-3dB)
5dBのNFBをかけている為、周波数特性はかなりフラットになっています。
(オリジナルはNFBなし)
歪率も50mW時、0.5%程度と良好です。
[本機の電気的諸元](実測値)
受信感度:41uV(50mW/SN比20dB at1000kHz)
残留ノイズ:広帯域測定 約0.4mV/JIS-A測定 約0.05mV
中間周波帯域幅:6.7kHz(-3dB)
中間周波選択度:-23dB(±10kHz)
最大出力: 0.9W
無歪最大出力: 0.56W
歪率:約0.54%(50mW時 1kHz THD+N)
NFB負帰還量:-5dB(位相補正あり)
ダンピングファクター:0.4(50mW時 1kHz ON/OFF法)
※受信感度の数値は擬似空中線回路網(JIS:C 6102-1:2019)を接続した時の値です。
※測定器類に精度の保障が出来ないものが含まれている為、測定値の精度は保障できません。
Coffee Break【スピーカーの能率(出力音圧レベル)と音量の関係】
大きな音を出したい場合は、出力の大きなアンプが必要だと思いますよね。
これは間違いではありません。
しかし、音の大きさを決める要素はもう一つあります。
それがスピーカーの能率(出力音圧レベル)です。
(スピーカーの能率の差と音の大きさ)
能率が3dB 違うと、同じアンプの電力(W数)であっても、実際の音の大きさは 2倍(エネルギー比)変わります。
+3dB:エネルギーが約2倍に増える
+4dB:エネルギーが約2.5倍に増える
+6dB:エネルギーが約4倍に増える
+10dB:エネルギーが10倍に増える
(アンプの出力に換算すると)
このエネルギー比の差は、アンプ側に必要なパワーの差に直結します。
例えば、
能率90dBのスピーカーに2.5Wのアンプの出力を入力したときと同じ音量を、
能率94dBのスピーカーなら、1Wのアンプで出せます。
(極端な例)
能率が 80dB のスピーカーで100dBの音量を得るには 100W の電力が必要です。
能率が 100dB のスピーカーであれば、わずか 1W の電力で同じ100dBの音量が出ます。
※出力音圧レベルの高低と音質は、また別の問題です。
【局発のパッテイングゴンデンサーとIFTの同調コンデンサー】
私は特に異常が無ければ、局発のパッテイングゴンデンサーとIFTの同調コンデンサーは交換しません。
理由は、この2つのコンデンサーが「負の温度係数」を持つ、特殊で入手が難しい温度補償型コンデンサーだからです。
(私たちが入手できるのは、精々±0の温度補償型コンデンサーです。)
「負の温度係数」を持つコンデンサーは「温度が上昇すると容量が小さくなる」という特性をもっています。
対してコイルは「温度が上昇するとインダクタンスが大きくなる正の温度係数」を持っています。
つまり、局発やIFTのようにLC共振回路を構成する場合、
局部発振のパッテイングゴンデンサーは、
発振コイルのインダクタンスが温度上昇でプラス(正)に変化する分を相殺する為、
負の温度係数(-150 ppm/℃ ~-750 ppm/℃)を持つコンデンサーを組み合わせて周波数を安定化させます。
IFTの同調コンデンサーは、
IFTの巻線(コイル)は温度が上がるとインダクタンスが増加する「正の温度係数」を持つ為、
これを相殺する為に負の温度係数を持つコンデンサーを組み合わせて同調周波数の安定度を保ちます。
日本は四季がある為、年間を通じての温度変化が大きく、
真空管ラジオ等を安定に動作させる為には、温度補償の技術が重要になるのです。