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本物保証 美術館級 1878年-1884年頃 Emile Galle エミール・ガレ 本人作 エナメル彩金彩 コロシント文・巡礼者図蓋物 chasse型 | |||
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MA260612260910OONVJU01 本物保証 美術館級 1878年-1884年頃 Emile Galle エミール・ガレ 本人作 エナメル彩金彩 コロシント文・巡礼者図蓋物 chasse型 ~アール・ヌーヴォーがまだその名を持たなかった時代。 今回ご紹介いたしますのは、フランス・ナンシーが生んだ装飾芸術の巨匠、mile Gall/エミール・ガレによる、コロシント文を主体としたエナメル彩・金彩装飾のガラス蓋物です。 本作を初めて目にした時、多くの方が思い描く「ガレ」とは少し違った印象を受けるかもしれません。 多層の被せガラスを酸で腐蝕し、植物を浮かび上がらせる後年のアール・ヌーヴォー作品ではありません。 本作は、それよりさらに遡る時代。 透明感のある琥珀色ガラスを舞台として、エナメル彩、金彩、彫刻的な凹凸、人物表現、植物装飾を重ね合わせた、ガレ初期の歴史主義的作品群に連なる一作です。 その姿は、単なる「箱」ではありません。 四角い器体。 丸く熔着された四つの脚。 そして、建築物の屋根を思わせるように大きく盛り上がる山形の蓋。 この独特の形態は、西洋中世における家形の聖遺物箱、いわゆる「chasse」を想起させます。 実際、Chrysler Museum of Artには1878~1884年頃とされるエミール・ガレの同系統の蓋物が所蔵されており、同じく四脚・箱形胴・山形蓋を備えています。 さらにその蓋のカルトゥーシュには、「森を歩く巡礼者」が描かれていると美術館自身が解説しています。 そして本作にも、蓋上に深い森を背景とした複数の人物群像が表されています。 杖を手に前へ進む人物たち。 やや身を屈めながら歩く姿。 周囲を取り囲む樹木。 限られた小さな画面の中でありながら、単なる文様ではなく、一つの物語場面として成立しています。 この人物表現は、本作を単純な植物文様のガラス器から、一段高い物語性を持った装飾芸術作品へと引き上げています。 しかし、本作のもう一つの主役が、器体全体を這うように展開されるコロシント文です。 フランス語では Coloquintes。 丸く膨らむ独特の果実。 細く長く伸び、自在にうねる蔓。 そこから広がる大きな葉。 ガレはこの奇異で生命力に満ちたウリ科植物を、たびたび重要な装飾モティーフとして取り上げました。 本作では、コロシントの実が正面へ大きく配され、そこから蔓が器面を流れるように伸びていきます。 紫褐色、緑、淡黄色、赤褐色。 抑えられたエナメルの色調に、細い金彩の輪郭線が加わることで、琥珀色のガラスの中から植物だけが静かに浮かび上がるような効果を見せています。 後年のガレが酸化腐蝕によって植物そのものをガラスの層から彫り出していくのに対し、本作では、描くことと彫ることの中間にあるような表現が見られます。 表面の一部は浅く彫り下げられ、あるいは凹凸を与えられ、その輪郭へエナメルと金彩が重ねられています。 そのため、見る角度を変えるたび、植物の線が光を拾い、平面的な絵付けとは異なる立体感を生み出します。 また器面には、コロシントだけでなく、鳥、花葉、蔓草、渦文などが組み合わされます。 写実に徹するのではなく、自然物を装飾として再構成する。 この発想こそ、後のアール・ヌーヴォーへ繋がっていく、ガレ芸術の根幹ともいえるものでしょう。 そして非常に重要なのが、本作に見られる歴史主義と自然主義の共存です。 器形は中世の聖遺物箱。 蓋には巡礼者を思わせる人物群像。 その一方で、器体には生命力に満ちたコロシントが絡みつく。 過去の美術様式を参照しながら、自然界の植物を新しい装飾言語として取り込んでゆく。 まさにこれは、ガレが後に独自のアール・ヌーヴォーへ到達する以前、その芸術的語彙を模索し、成熟させていた時代ならではの作品です。 この系統に極めて近い作品としてChrysler Museum所蔵のGallのCovered Boxは、制作年代をca.18781884、技法を型吹き、酸処理、カット、エナメル彩、金彩、熔着脚としています。 さらに、1878年頃の別のGall chasse型蓋物では、同様に丸脚と山形蓋が確認され、その造形が中世リモージュの聖遺物箱に由来することも指摘されています。 この比較から、今回のお品についても、私は1878~1884年頃を中心とする初期ガレ作品として検討するのが最も自然と考えます。 特に蓋上の人物群像とchasse型の器形は、Chrysler Museum作品との比較上きわめて重要です。 ここにコロシント文が組み合わされていることによって、本作はさらに興味深い存在となっています。 ガレにとってコロシントは一過性の文様ではありません。 Christie’sでも1895年頃の作品が正式に「Coloquintes」の名称で扱われており、酸処理、エナメル彩、金彩という技法によってこの植物が表現されています。 つまり本作に現れるコロシントは、後年のガレ作品にも継承されてゆく、彼にとって重要な植物語彙の一つだったと見ることができます。 初期の歴史主義的なchasse型作品。 その二つが一つの作品の中で交差しているところに、本作の最大の魅力があります。 ガレという芸術家を、「アール・ヌーヴォーの花瓶を作った作家」という一面的な理解から解き放ち、その創造の原点へ近づけてくれる一作と言えるでしょう。 また、その美しさは学術的な面白さだけに留まりません。 厚く温かな琥珀色ガラスへ光が差し込むと、箱全体がまるで黄金色に発光するかのように輝きます。 そこへコロシントの紫褐色、葉の緑、人物画の淡い色彩、そして金彩が重なり、昼と夜、照明の角度によって作品の表情そのものが変化します。 正面。 背面。 側面。 蓋上。 どこにも完全な「裏側」がありません。 一周しながら眺めることで初めて作品全体の物語が完成する。 これは器というより、掌に載る小さな建築であり、ガラスによる一つの世界です。 市場面でも、この系統は通常のGallカメオガラスとは区別して考える必要があります。 2022年にMillonへ出品されたcirca 1882のGall大型四角形蓋物は、四脚・多彩エナメル・金彩・人物場面を備える極めて近いカテゴリーの作品で、評価額は15,000~20,000ユーロでした。 一方、より一般的なコロシント文ガラスでは、Quinttenbaumで高さ44.4cmの「Coloquintes」花瓶が5,600ユーロで落札、別の61cm作品が3,300ユーロで落札されています。 したがって本作の価値を考える場合、単純な「コロシント文花瓶」の相場ではなく、初期chasse型蓋物という希少な造形カテゴリー、人物情景、エナメル彩・金彩、Gallサイン、保存状態を総合して見るべきです。 もちろん個体差、サイズ、状態、来歴によって価格は大きく変動するため、本品そのものの価格を15,000~20,000ユーロと断定するものではありません。 しかし、同系統が海外美術館に収蔵され、国際市場でも通常の量産的Gallとは明確に異なる扱いを受けていることは、本作品を理解するうえで極めて重要です。 ガレの作品には、美しいものが数多くあります。 中世への眼差し。 自然への畏敬。 異文化への好奇心。 植物を単なる模様ではなく、生命そのものとして器面へ宿そうとする感性。 後にアール・ヌーヴォーの巨匠となる芸術家の思想が、この小さなガラスの箱の中にはすでに芽吹いています。 名品とは、完成された美だけを見せるものではありません。 Gallのサインを纏い、人物たちの物語とコロシントの蔓を一世紀以上の時の中に封じ込めた本作。 ガレを深く蒐集される方にこそ手にしていただきたい、一期一会の一作です。 【サイズ】 高さ(H):約16cm 横幅(W):約19.3cm 奥行(D):約11.7cm 【重量】 約1.58kg ※当方が測ったものですので、若干の誤差がある場合がございます。 【作者】 【作品名・様式】 【推定制作年代】 【文様】 【商品状態】 掲載画像をご覧下さい。 100年以上を経たアンティークガラス作品として、表面の擦れ、小傷、エナメル彩および金彩の摩耗・変色、制作時由来と思われる気泡・筋・凹凸等が見受けられます。 また脚の一脚の側面あたりから底部分にかけてひび割れがございますが、鑑賞時には非常にわかりずらく、その他全体的な状態は100年以上を経た作品としては比較的状態の良好なお品物かと思われます。
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