サンヨーSS-48
ダイアル盤中央にマジックアイを持つSS-148に比べると派手さには劣りますが、
輝かしいブラスのベゼルをダイアル盤にまとったSS-48のフェイシアに、むしろ深遠な世界を感じます。
このダイアルリングのもたらす表情の多彩さこそがSS-48の魅力に違いありません。
SS-48については、販促誌の「サンヨーコンパス」に開発話が詳細に記載されています。
以下、サンヨ-コンパスより抜粋
-フェイシアへのこだわり-
「正面意匠は特にダイアルに意を注ぎ、奥行きのある立体感を持ったあたかも高級自動車の計器を意識するもの」
ここにブラスをふんだんに用いた事で、美しい反射面となって、見る人を深い円周に引き込んでゆきます。
この燦然たるベゼルこそが本機のアイデンティティであり、他を寄せ付けない部分です。
「ネットは高純度アルマイト加工をして、近代的感覚を出す。」
このネットは、非常に特徴的です。おかしな錆が出ないので何がしてあるのだろうと不思議でしたがこれで解けました。
更には、スピーカーのビビりを防ぐ処置もしてあるとのことです。
-音へのこだわり-
「従来のハイカットによって低音が出ているような錯覚ではいけない。低音を十分に出したうえで高音も出す。」
ハイファイの概念の芽生えが見られます。出力トランス二次側からDH3Aカソードに掛けられたNFB(負帰還)
紙面では、何枚もの周波数特性表で高音質を訴求しています。
二次側から2本の追加配線をすることは生産効率から不利なるものの、音質追求のためには止む無しとのこと。
また音響効果を良くする為、12mmバッフル板を使用するなど、大変な情熱を感じます。
これに組まれたサンヨーSPD-70スピーカー 7インチパーマネントは、素晴らしく低音が出るユニットです。
更には、PU切替は二点接続スイッチにより、高周波部分を完全に切断してラジオの混入を防ぐ工夫を行っています。
-細部、使用感へのこだわり-
「ロープは三味線糸を廃して、摩擦抵抗の大きいアミラン樹脂を使用」
温度変化による伸縮試験図も載せています。更には、ダイアル減速比は15:1で最適化しているとのことです。
大変小型に出来ています。シャシーも小さい。ゆえに真空管は5本横並びで、IFTを間に挟みません。
これは見た目は良いのですが、配線は非効率で無理をしなくてはいけません。
修理する際に、ちゃんと整理したくなる部分がどうしても出てきます。
このSS-48のレストア課題は、「SS-148に負けないオーラを与える事」とし、
作業にあたり注意したのは以下の点です。
・オリジナルのブラスメッキを取り戻す
真鍮は年月を経ると変色して、錆びた印象を与えますが、これは化学的に形成された不働態で、汚く見える皮膜の下に
オリジナルの表皮が保存されています。SS-48デザインの要であるダイアルベゼル。この復元作業は最も重要です。
・メッシュネットの視覚効果を高くする
このメッシュは複雑な面が色々な向きに出るように作られています。経年の汚れが蓄積しやすい部分ですが、
メッシュをブラストして、サラン布を真っ更にしたのではオーラが出ません。
ある角度、人が見る正面上方の面の輝度がより高くなるような磨きをやります。
天井照明を受けて煌めくメッシュの視覚効果は写真でご確認ください。
オリジナルの濃赤色サラン布、その深い色彩がメッシュの立体感をより引き立ててくれている筈です。
・操作パネル木部の材質感を高める
SS-148の操作パネルが垂直面であるのに対して、SS-48のそれはなだらかな傾斜とラウンド面で出来ています。
ここは是非、木のもつ優しさ、多彩な表情を引き出したいと考えました。
ウレタンでツルッと塗ってしまうと、どの方向から見ても同じ質感になってしまうので、ここはオイルフィニッシュと
ポリッシングで仕上げています。オイル仕上げ特有のぬめるような木目をお愉しみ下さい。
ノブ操作時に、指が触れてなじむ感覚もむしろ良いかと思います。
・やむなく諦めた部分もある
本機はPU切替スイッチに今は手に入らない2点接続スイッチが使われていて、
これによりPU時のラジオ混入を完全に防いでいます。
しかし、同軸のボリュームがガリの為使い物にならなかったので、
たまたまあった、軸長とローレット歯数がマッチする単極双投スイッチを使用しました。
この際、いっそのこと、切替操作なしで外部入力ができるようにしてみました。
外部音源時のラジオの混入は、メインボリュームを最小にすることで回避できます。
たとえラジオ放送にオーバーラップさせて外部音源を入力しても、入力レベルを上げるなり、メインボリュームを絞る操作で
ラジオ音声は消失します。 P.U切替ボリュームではありますが、P.U位置は使用しません。
せっかく切替ボリュームを入れておきながら、P.Uのレタリングは見掛け倒しです。 これは諦めました。
さて試聴結果ですが、音の良さについて、謳い文句通りであると感じました。
よくある、低音を増すと高音が痩せ、高音を増すと低音が痩せるトーンコントロールではありません。
素晴らしく重低音が出ます。12mm厚バッフル板が奏功しています。
重低音が出る域でも高音が残るので、お好みの音楽をお好みの音で聴くことができるでしょう。
外部入力ケーブルの3.5mmステレオプラグには、付属の中継ジャックを挿すことで市販のBluetooth受信機を
セットすることも出来ます。
ラジオの性能が良いのはもちろんのこと、
本機のルックスと素晴らしい音を愉しんでもらえたらと思います。