森村誠一★虹の刺客(上・下) 小説・伊達騒動★ 講談社文庫

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★商品説明★森村誠一著 「虹の刺客(上・下) 小説・伊達騒動」 講談社文庫

 「虹の刺客(上)」    2007年 12月 文庫初版
 「虹の刺客(下)」    2007年 12月 文庫初版
      定価   800円、762円+税  547頁、515頁

★著者略歴★ 1933年、埼玉県熊谷生まれ。川越高校卒、青山大学英文科卒。9年余りのホテルマンを経て、1969年「高層の死角」で第15回江戸川乱歩賞。1973年「腐蝕の構造」で第26回日本推理作家協会賞。1976年「人間の証明」でブームを起こし、2003年、第7回日本ミステリー文学大賞。2011年、「悪道」で吉川英治文学賞を受賞(最高齢受賞)。「忠臣蔵」など時代小説でも活躍。

★作品内容★ 時代小説な好きな人なら周知の”伊達騒動”、東北の雄・伊達家4代当主をめぐるお家騒動で、大悪人の原田甲斐が主役を務める。ところが、山本周五郎の「樅ノ木は残った」(1954~56)で原田甲斐が、伊達家を守るために自ら悪役になったという原田甲斐の姿を描いて評判になる。この名作を前に、以後大作がかかれなくなったが、著者が新たな視点で伊達騒動を描く(1993年)。今回はどんな姿の原田甲斐を描くのだろうか。時は、4代将軍家綱の時代。病弱で家光の時代からの宿老の政策になんでも”そうせい”と言っていたので”そうせい公”とも言われた家綱の時代。力を伸ばしていたのは下馬将軍とも言われた酒井忠清。跡継ぎの稲井家綱が亡くなれば、自分の権威はつぶれることは明らかなので、今日から帝の血筋を持ってきて五代に据え、あわよくば、鎌倉幕府の北条のようになりたかったのだろう。唯一残っていた家康の子・紀州頼宜や、家綱の弟綱吉なども絡み、伊達家の争いは藩内ばかりではなく徳川家の5代の争いにも発展する。読み終わって、もう一度「樅ノ木は残った」を読み直してみたくなった。
 <上> 若くして伊達62万石の当主になった、綱宗は祖父政宗譲りの剛毅な男だったが、その豪放さゆえに伊達家の将来を心配した重職たちに、吉原の遊女に入れ込んだということで隠居させられる。そして4打当主となったのは綱宗の幼い息子亀千代だった。当然藩政が取れるはずもなく、後見人として政宗の7男・伊達兵部がとる。兵部は別家ながら政宗の息子だし、時の老中・酒井忠清と縁戚を結び、うまくゆけば宗家を、出来なくても班を分断した後の三十万石を継ごうとしていた。後見役となった兵部は、邪魔になる家老たちを次々と陥れ、藩の実権を握る。そんな中で。家老としては目立たなかったが、邪魔にもならないだろうと原田甲斐を取り立てる。ところが原田は、自分と同じように野心を持つ、若くして隠居させられ先代・綱宗を返り咲きさせようと画策していた。お家騒動の中で、兵部と原田の暗闘が続く。
 <下> 酒井忠清は、紀州家と、東北の伊達家が手を結ぶことを警戒していた。だから、縁戚でもある伊達兵部を巻き込んでけん制しようとしていたのだが、原田甲斐も紀州頼宜と結ぶことで自分の野望をなさんとしていた。そして伊達家では、兵部のあまりにも恣意的な政治に爆発寸前であった。そしてついに、幕府に訴え出た伊達一族だが、それを機に一気に版を潰そうとする大老酒井。伊達兵部もそれに気が付き、原田甲斐に密約の書類を渡す。幕府にそれを提示するが、これが表に出れば、幕府の権威も失墜する、その結果、当事者たちが酒井邸に集められて押し包められて殺される。表向きは、原田甲斐が悪事の露見を攻められて乱心して刃傷に及んだことになった。事実は分からないが、これで伊達騒動は終わる。原田の乱心とそれを止められなかった後見役の伊達兵部が取り潰され、伊達本家はおとがめなしとなったのだ。結果的には原田が悪臣となったおかげともいえる。けれど権力争いは、その後も続くのだが、臨終間近の家綱に堀田正敏が五代将軍に綱吉を押したことによって、酒井忠清は失脚する。その後も残された者たちの刺客の応酬が続くが結局残ったのは誰か。
 作者もあとがきに書くように、歴史を書いたのではなく、権力者の移り変わりを描いた物語かもしれない。権力者とは何だ。

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