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| 筆者の貞子と旧・所蔵主・方子 | 出品した「南方録」を書いた広幡大納言の娘の貞子(さだこ)は、仙台藩5代藩主・伊達吉村の正室である。貞子は冬姫(あつぎみ)ともいう。貞子は公卿・内大臣久我通誠の娘として元禄15年(1702)4月に仙台藩主の正室に嫁している。 |
| 来歴について |
方子の母・せい(靑に彡)楽院(不昧公正室・方子)の生家である仙台藩から同藩の藩医・木村寿禎の家に伝来したものである。書かれた来歴が克明にわかる貴重な自筆「南方録」である。
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| 「南方録」について |
1・千利休没後の約百年後の貞亨4年1687年正月に縁有って、宗啓の残した記録のうち「覚書」「宗易茶湯日記」「四畳半棚置等」「書院少々覚書」「台子等」の5巻を、参勤交代で在住していた江戸黒田藩の桜田の屋敷で入手する。またその3年後の元禄3年には同じく参勤交代の途中に、堺の宗啓の血族である納屋宗雪より、残りの「墨引」「滅後」を書写し、計7巻の茶書を入手する。 後に7巻を清書(編纂)して古外和尚に「南方録」と命名してもらう。 7巻の書名は「覚書」「会」「棚」「書院」「台子」「墨引」「滅後」からなる。 その後南方録は宝永2年(1705)12月に実山の近親者である、立花寧拙(弟)、立花不白(実子)、衣斐固本(黒田藩士)、大賀如心(博多商人)の4名に固く他見を禁じて書写を許される。 尚実山は光之が亡くなると四代藩主綱政から隠居を申し付けられ、さらに翌年綱政の命により捕らえられ半年近い幽閉生活の後、密使に暗殺されると言う悲惨な末期をたどる。いかにも利休と同じような運命を思わせる。 2・笠原道桂(黒田藩士、旧姓立花勝久、実山の甥) 江戸藩邸勤めが長く、何れ実山から書写を許される予定(?)であったが、実山が暗殺されたため書写できず。実山の死10年後の享保3年(1718)2月28日に上記の内3名の合議により特別に南方録の書写を許される。 笠原道桂はその後江戸に南方録を持参し、江戸の旗本安藤定房に享保9年(1724)春、書写をさせる事になる。 その後南方録は安藤定房から次々に書写されるようになり、武士、僧侶、そして遠州流、宗編流、石州流などにも広まっていったようである。書写の過程で「南方録」は南坊宗啓の記録と言う事で、「南坊録」として流布していく。 |
| 自筆の希少価値 |
自筆の稀少価値は、和紙の生成技法の緻密さにあります。上の「拡大断層(MRI)写真」でわかる通り、極めて薄い和紙の上に墨の文字がくっきりと浮き上がるように文字が記されております。 出品している書の「断層(MRI)写真」の原板は、レントゲン写真と同じ新聞の半分ほどの大きさのフィルムです。肉眼では見ることのできない和紙の繊維の一本一本のミクロの世界を見ることができます。 古切の書は、一旦表装を剥離し分析と鑑定検査のために「断層(MRI)写真撮影」をしております。 |
| 断層(MRI)写真 | 従来、日本の古美術の鑑定の際の分析・解析は、エックス線写真、赤外写真、顕微鏡が中心です。一方、アメリカやイギリスでは研究が進み和紙の組成状況を精確に分析・解析をするために断層(MRI)写真が利用されており、今回の出品に際し、「断層(MRI)写真」を資料として出しました。本物を見分けるための欧米の進んだ分析・解析技術を見ることができます。 |
| 寸法 |
「南方録」自筆の大きさ タテ24.3センチ ヨコ16.3センチ。
額縁の大きさは タテ40.0センチ ヨコ30.0センチです。 額縁は新品です。 |
| 筆者の分析について |
国内における鑑定人は、自筆の筆者を識別するために、個々の文字ごとに字画線の交叉する位置や角度や位置など、組み合わせられた字画線間に見られる関係性によって、個人癖の特徴を見出して識別する方法、また個々の文字における、画線の長辺、湾曲度、直線性や断続の状態、点画の形態などに見られる筆跡の特徴によって識別する方法、そして、書の勢い、速さ、力加減、滑らかさなどの筆勢によって識別する方法が一般的となっている。 一方、欧米では一般的には、「筆者識別(Handwriting Analysis)」と呼ばれる文字解析をコンピューターの数値によって解析している。数値解析は、文字の筆順に従いX、Y座標を読み、そのX、Y座標をコンピューターへ入力後、コンピューターによって多変量解析を行う。解析の基準となるのが「ドーバート基準」で、アメリカでは日本国内の画像データを自動的に収集、自筆の分析に際し、数値データをコンピューターで自動的に解析し「極似」した画像データによって筆者を識別する研究が進んでいる。 |
| 剥離痕について |
出品の自筆「南方録」は、掛軸に表装されて主に茶会の「茶掛」として鑑賞に用いられていたため、掛軸や屏風などに複数回表装し直された痕跡を示す「剥離痕」が確認されている。 自筆の保存維持管理の関係で「額縁」に表装しているが、元の状態の掛軸に戻すことが可能なように、「Removable Paste(再剥離用糊)」を用いている。 |
| ホームページ |
出品以外の所蔵品を紹介した出品者のホームページ「源氏物語の世界」をご覧ください。 ツイッター「源氏物語の世界」 も合わせてご覧ください。 |