アイルランドからやってきたザ・スリルズ。ところが、『So Much for the City』での彼らは、まるで70年代初頭のアメリカのドライヴインに心を置き忘れてきたみたいだ。名前にだまされてはいけない。ザ・キルズともザ・ヘルズともザ・ホワイト・ストライプスとも違って、このバンドはガレージ・ロックの新しい潮流とは何ら関係をもってはいないのだ。それどころか、本作はアメリカ音楽のお粗末な模造品だ――西海岸へのサイケデリックなオマージュとでもいった感じで、何とも甘ったるく、使い古したジーンズのポケットに突っこんだハーモニカで奏でるのがぴったりだろう。
ニール・ヤングとザ・バーズの影響を受けているのは明らかだが、ザ・スリルズが純粋にポップなものをつくり出そうとしている点には注目してよい。「One Horse Town」や「Santa Cruz (You're Not That Far)」といった曲には、弾けるようなバンジョーや揺れるようなメロトロンがフィーチャーされていてもおかしくないところだが、かろうじて得られたカントリー・ロック・ジャム「らしさ」も、明るいフックとハーモニーに不似合いなせわしないサウンドのせいでぶち壊しである。第一、彼らは「Big Sur」で歌詞をモンキーズの「(Theme from) the Monkees」からパクってさえいるのだ――このバンドが過去の遺産を掘り起こすことより質の高いお子さま音楽を模倣することに夢中になっている何よりの証拠だろう。彼らならそれもお似合いだ。(Louis Pattison, Amazon.co.uk)