1947年生まれで2020年に故人となった英国はブリストル出身、ブリティッシュジャズ渦中のピアニストとしては孤高の存在として知られるキースティペットと、1947年生まれ、英国はロンドン出身の当初はソウルやリズムアンドブルースなどの黒人音楽全般を得意なスタイルとしてそのキャリアを開始したジュリーティペットによるコラボレーション名義アルバムとしての第1作目。オリジナルリリースは英国のEGレーベルからで、本掲載盤はそのオリジナル88年版CD。これ以外にも同時リリースでカセットテープとLP盤と両方あって、アナログ盤コレクターはそちらも必携。ただし音質的にはこのCD盤も非常に素晴らしいもので、スクラッチノイズの無い状態でティペットのピアノが聴けるというだけでも魅力充分。編成はキースティペット(ピアノ、プリペアードピアノ)、ジュリーティペット(ヴォーカル)による編成で、音響ミキシングはなんとロバートフリップが担当。内容は基本的にはフリーインプロヴィゼーションフォーマットでの演奏でありながらも、例えば良く比較されるセシルテイラー、ジョエルフッターマン、フレットファンホーフェ、山下洋輔などなどの歴代の巨匠とは全く別の独創性があるのは当然としても、大枠としてはその異様な衝動力を放ちながらのカタストロフィーへと至る極限感覚を常に孕んでいるという側面で言えば、単にフリーインプロとはいえ演奏のための演奏へと純化しちゃったデレクベイリーやエヴァンパーカーとは全く別の角度を持ったフリーインプロヴィゼーションといった印象なのはティペット作品全てに一貫する核心部分。本作に於いてもあのプリペアードピアノによる爆発力に不思議な不協和倍音ハーモニーをレイヤーしていくジュリーティペットの霊性ヴォーカリゼーションもちょっと素晴らしすぎるくらいの出来栄え。KEITH AND JULIE TIPPETT-couple in spirit(EG records)