【FULLCOUNT 2870 2nd TIGHT FIT DOUBLE FLAP/13.7oz ジンバブエコットン/サイズ40/生産終了モデル/リアルエイジング】
デニムという服の面白さは、新品の状態が完成形ではないことだと思います。
最初は均一だった濃紺のインディゴが、着る人の腕の曲げ方、身体の動き、ポケットに手を入れる癖、袖口や裾が擦れた回数によって少しずつ変化していく。やがて同じ品番、同じサイズだったはずのジャケットが、世界に一着しかない表情になっていく。
今回出品するFULLCOUNT「2870」は、まさにそんなデニム本来の面白さを存分に味わえる一着です。
こちらはヴィンテージ加工を施したHARDWASHモデルではありません。通常ラインとして販売されていた13.7ozジンバブエコットンの2870を実際に着用し、時間をかけて育てたもの。写真をご覧いただければ分かる通り、まだボディには深いインディゴをしっかり残しながら、袖、袖口、前立て、ポケット、裾といった動きや摩擦の集中する部分には美しいアタリと濃淡が現れています。
そして、この「2870」は現在では生産終了となったモデルです。2016年秋冬からFULLCOUNTの新定番として登場したモデルですが、現在の定番ラインからは姿を消しています。
■ FULLCOUNT――大阪から始まった日本のレプリカデニム文化
FULLCOUNTがスタートしたのは1992年、大阪。
創業者は辻田幹晴氏です。辻田氏は単にファッションビジネスとしてデニムブランドを立ち上げた人物ではなく、自身が筋金入りのヴィンテージデニム愛好家だったことでも知られています。
その原点は少年時代。大阪・アメリカ村でLEVI’S 501と出会ったことからデニムへの強烈な興味が始まり、高校時代には周囲から「デニムが基本の人」として知られ、友人の買い物相談に乗るほど古着やデニムにのめり込んでいったといいます。
近畿大学を中退後、飲食業や広告関係の仕事などを経験し、大阪の古着店「ラ・ピーヌ」に勤務。その後EVISU JEANSの立ち上げにも関わり、1992年に独立してFULLCOUNTを設立します。
旧DENIME、EVISU、STUDIO D’ARTISANなどとともに、日本のヴィンテージレプリカ文化が爆発的に成熟していった時代を知るブランドでもあります。
現在では日本製セルビッジデニムが世界中で評価され、「旧式力織機」「セルビッジ」「ヴィンテージ縫製」といった言葉も珍しくありません。しかし、この文化が最初から当たり前だったわけではありません。
古いアメリカ製ジーンズを研究し、なぜ昔のデニムには独特の凹凸があるのか、なぜ縦落ちするのか、なぜ何十年も着込まれた501XXがこれほど格好良いのか――そうした問いを生地、糸、織り、縫製まで遡って追究していった世代があります。
FULLCOUNTは、そんな熱狂の中から生まれたブランドです。
■ FULLCOUNTを象徴する「ジンバブエコットン」
そしてFULLCOUNTを語るうえで絶対に外すことができないのが、ブランドを象徴するジンバブエコットンです。
FULLCOUNTは創業初期からジンバブエコットンをデニム作りに採用し、その長い繊維がもたらす柔らかさや強さを、ヴィンテージデニムの風合いと快適な着心地の両立に生かしてきました。
FULLCOUNTの面白さは、「ヴィンテージに似ている」だけで終わらないところ。
硬く重いデニムを我慢して着るのではなく、着れば着るほど身体に馴染み、やがてデニムシャツのような感覚で自然に羽織れる。その快適性まで含めてヴィンテージデニムを再解釈しているブランドです。
今回の2870に使われているのも、FULLCOUNTを代表する13.7ozジンバブエコットン100%のオリジナルデニム。
そして、その素材が「着込むほど身体に馴染み、表情を変えていく」ということを、この個体自身が何より雄弁に物語っています。
■ 原型は1950年代の名作「507XX」
2870のデザインソースとなったのは、LEVI’S 507XX。
現在では通称「2nd」として知られる、1950年代を代表するデニムジャケットです。
前身となる506XX、いわゆる1stが左胸のシングルポケットと背面シンチバックを備えた非常にワークウェア色の強いジャケットだったのに対し、507XXでは左右2つのフラップ付き胸ポケットを配置。背面のシンチバックに代わって裾のサイドアジャスターを採用し、フロントには1stから続く特徴的なプリーツを残しました。
そして、その後に登場する557XX=3rdではプリーツそのものが姿を消し、現在のトラッカージャケットへと直接つながるデザインへ進化していきます。
つまり2ndは、初期ワークウェアとしてのデニムジャケットと、ファッションとして完成されていくデニムジャケット、その中間地点に存在するようなモデルです。
だから70年以上が経過した現在でも古臭くならない。
ワークウェアらしい無骨さがあるのに、左右対称のダブルポケットには不思議な完成度があり、Tシャツ一枚の上から羽織るだけでも成立する。
数あるヴィンテージデニムジャケットの中でも2ndが特別な人気を持ち続ける理由は、この絶妙なバランスにあると思います。
■ ただし2870は、507XXをそのままコピーした服ではない
ここが、このモデルの一番面白いところです。
FULLCOUNT 2870「2nd TIGHT FIT DOUBLE FLAP」が登場したのは2016年秋冬。
FULLCOUNTは2ndというクラシックなデザインをそのまま再現するのではなく、現代のファッションに自然に取り入れられるようシルエットそのものを再構築しました。
身幅はタイトに。
着丈はヴィンテージよりやや長く。
アームホールも細めに設定しながら、単純に袖を細くするだけではなく、立体的なカッティングによって動きやすさを確保しています。
つまりこれは、「1950年代の507XXをどこまで忠実にコピーできるか」という服ではありません。
1950年代の完成されたデザインを残しながら、「現代で着るならどうするか」をFULLCOUNTが考えた2nd。
いわば、ヴィンテージを知り尽くしたブランドによるモダナイズです。
そのため、いわゆるヴィンテージレプリカに見られる短丈かつボックス型のシルエットとは明確にキャラクターが異なります。
シャツやカットソーとのレイヤードもしやすく、春秋にはアウターとして、細身のシルエットを生かせば冬場にはコートなどのインナーとしても使える。
「2nd TIGHT FIT DOUBLE FLAP」というモデル名そのものに、2870の思想がよく表れていると思います。
■ 2ndらしいディテールもしっかり残されています
フロントには左右対称のダブルフラップポケット。
中央には2ndを象徴するアクションプリーツ。
裾にはボタン式のサイドアジャスターを配置し、FULLCOUNT刻印入りのオリジナルボタン、赤タブ、レザーパッチなど、レプリカブランドらしいディテールもしっかり作り込まれています。
レザーパッチにはモデルナンバー「2870」とサイズ「40」の表記もしっかり確認できます。
そして、新品の2870では絶対に手に入らない最大のディテールが、この個体そのものに刻み込まれた「時間」です。
■ 加工ではなく、本当に着て生まれたエイジング
写真でぜひ見ていただきたいのが、袖周辺の表情です。
肘周辺には腕の曲げ伸ばしによって生まれた細かな皺とアタリが入り、袖口には生地の重なりに沿った強いパッカリング。
胸ポケットのフラップや前立て、裾、縫製部分にもインディゴの濃淡が現れています。
一方で、ボディ中央や背面にはまだ深いインディゴがしっかり残っています。
ここが非常に良いところです。
全体を一気に色落ちさせた加工物とは違い、「擦れる場所から先に色が落ち、動かない場所には色が残る」という、実際の着用によるデニム本来のエイジングになっています。
袖口を見るとかなり色が抜けている。しかし、少し内側へ入れば濃紺。
前立ての縫い目には細い線状のアタリ。
ポケットフラップも縁を中心に色が抜け、ステッチとのコントラストが強くなっています。
肘には身体の動きそのものが皺として刻まれ、背中は比較的静かな表情を保っています。
誰かが実際にこのジャケットを着て、腕を曲げ、歩き、日常生活を送った結果として出来上がった表情です。
「デニムを育てる」という言葉がありますが、この一着を見ると、その意味が非常によく分かります。
しかも、その生地はFULLCOUNTが長年こだわり続けてきた13.7ozジンバブエコットン。
2870というモデルのコンセプトを、年月を経た姿まで含めて見せてくれるような個体だと思います。
■ 現在では生産終了となった2870
2870は2016年秋冬から新定番として登場しましたが、その後生産終了となり、現在のFULLCOUNTの定番ラインからは姿を消しています。
新品のデッドストックを探すのも面白いですが、FULLCOUNTのように「着込むこと」まで考えてデニムを作っているブランドの場合、誰かがちゃんと着て育てた個体には新品とはまったく別の魅力があります。
特に、この2870はそうです。
FULLCOUNTがこだわり続けてきたジンバブエコットン。
1950年代のLEVI’S 507XXという歴史的デザイン。
それを2010年代のファッションへ落とし込むために再構築した2870。
そして、そこから実際に人間が着ることで生まれたリアルな色落ち。
1950年代のアメリカ、1990年代から続く日本のレプリカデニム文化、2010年代のモダナイズ、そしてその後のリアルな経年変化。
いくつもの時間が一着の中に重なっています。
しかも、まだ全体が真っ青になるほど色落ちしているわけではありません。
現在もボディにはインディゴがしっかり残っており、ここからさらに着込むことで現在濃く残っている部分にも縦落ちや濃淡が進み、袖や裾の強いアタリとのコントラストもさらに変化していくはずです。
「完成された中古品」というより、かなり良いところまで育っていて、なおかつここから続きを自分で育てられる2870。
この表現が一番しっくりきます。
旧DENIME、EVISU、WAREHOUSE、STUDIO D’ARTISAN、SUGAR CANE、THE REAL McCOY’Sなど、日本のレプリカデニム文化が好きな方はもちろん、単純なヴィンテージ復刻ではなく、「ヴィンテージを日本のブランドがどう解釈してきたのか」という文化そのものを楽しめる方にもおすすめしたい一着です。
【モデル】
FULLCOUNT 2870
2nd TIGHT FIT DOUBLE FLAP
MADE IN JAPAN
【仕様】
・LEVI’S 507XX/2nd TYPEモチーフ
・13.7ozオリジナルデニム
・ジンバブエコットン100%
・ダブルフラップ胸ポケット
・フロントアクションプリーツ
・サイドボタンアジャスター
・FULLCOUNT刻印ボタン
・赤タブ
・レザーパッチ
・タイトフィット
・やや長めの着丈
・立体的なアームカッティング
・現在生産終了となっている旧モデル
【サイズ】
表記:40
肩幅:約41cm
身幅:約51.5cm
袖丈:約63cm
着丈:約64.5cm
※平置きでの素人採寸ですので、多少の誤差はご理解ください。
こちらはHARDWASH等のヴィンテージ加工モデルではなく、実際の着用によって色落ち・アタリ・パッカリング等が生じたUSED品です。画像をご確認いただき、この個体ならではのリアルなエイジングを含めてお楽しみいただける方におすすめいたします。
送料無料にて発送いたします。
■ お取引に関するお願い
イタズラ落札・購入意思のない落札防止のため、落札後24時間以内のご連絡、落札後48時間以内のお支払いをお願いいたします。お支払いが遅れる場合は、必ず事前にご連絡ください。
また、評価内容や過去のお取引履歴等を拝見し、お取引に大きな懸念があると判断した場合には、入札の取り消し、または落札者削除を行う場合がございます。
気持ちの良いお取引のため、ご理解いただける方のみご入札をお願いいたします。
(2026年 9月 26日 15時 27分 追加)UM20-20