中江嘉男・作、上野紀子・画による 『チコの時空間旅行』です。 『ねずみくんのチョッキ』で広く知られる中江嘉男・上野紀子夫妻による、通常の絵本とは大きく趣を異にする幻想的な作品です。
黒を基調とした装丁に、モノクロームの写真・絵・コラージュ的なイメージを組み合わせ、少女「チコ」が望遠鏡を通して不思議な世界へと入り込んでいく物語が展開されます。
本文には「ST」と書かれた名刺を持つ人物が登場し、
「面白いものをお見せしましょう」 と、チコを不可思議な世界へと誘います。
この「ST氏」という存在は、中江嘉男・上野紀子夫妻による別作品『ST氏の手紙』にも登場しており、夫妻と深い交流のあった詩人・美術評論家
瀧口修造を想起させる重要なモチーフとして大変興味深いものです。
中江・上野夫妻は瀧口修造と実際に親交を持ち、幻想美術・シュルレアリスムにつながる創作活動を行っていました。本書もその流れを色濃く感じさせる、アーティストブック的な一冊です。
見返しには、中江嘉男・上野紀子両名の直筆サインが入っています。 中央には小さな人物図版も配され、署名そのものを含めて一つの作品のような印象を受けます。
巻末には 「『チコの時空間旅行』 中江嘉男・作 上野紀子・画」 との記載があり、通常の商業絵本とは異なる特殊な刊行形態の作品と思われます。
『ねずみくん』シリーズとはまったく異なる中江嘉男・上野紀子夫妻のもう一つの創作世界を知ることのできる作品であり、上野紀子、中江嘉男のコレクターはもちろん、瀧口修造、シュルレアリスム、幻想美術、アーティストブック関係の資料としても興味深い一冊です。
市場で見かける機会も少ないと思われ、さらに夫妻両名の署名が揃った個体という点も魅力です。
状態につきましては、経年による多少のスレ・キズ・汚れ等がございます。 詳細は掲載画像をよくご確認のうえ、ご入札をお願いいたします。
本体サイズは、縦 30.5㎝ × 横 25.5㎝ (若干の誤差はご容赦ください)。
“よみネコ”くんは、身長12cm。大きさの参考になさってください。 |