フェラーリは開発に先立ち搭載するエンジンの選択に迫られたが、315Sの4カム(DOHC)や、
ディーノV型6気筒等は開発期間の問題から却下され、コロンボ系のV型12気筒エンジンに決定された。
これは少量ながら市販される前提のため、プライベートユーザーの手に渡った場合DOHCは扱いがシビアすぎるとの見解からも見送られ、
SOHCの250GTユニットに決定された。
新型3リットルマシンへの搭載にあたり、それまでの250GTユニットからの改良点として、
点火プラグの位置をVバンクの内側から排気ポート側へ移動し、6基のツインチョーク・ダウンドラフト・ウェーバー・キャブレター38DCNを搭載できた。
さらにバルブ径を拡大、軽量コンロッドや軽量ピストンに変更し、最高出力が従来型の240-260bhpから300bhp/7,200rpmへ強化された。
このエンジンの開発時、カムカバーを旧型エンジンとの識別のために赤く塗っていたため、
新型マシンは250テスタロッサ(「赤い頭」との意)とネーミングされ、250TRと略される場合がある。
250は当時のフェラーリの伝統に習い、一気筒当りの排気量を表す。
しかし初期型TRの250ユニットはピストンにクラックが入るトラブルが多く発生したため、勝てなかったレースも多かった。
シャシーは従来型と変わらず、航空機用の太い鋼管によるラダーフレーム、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーンとコイル、
リアは横置きリーフスプリングのド・ディオンアクスルか、トレーリングアームとリーフスプリングによる
リジットアクスルが選択できた(市販型は後者のみ、後者のリアサスペンションは250GTOまで使われた)。
ホイールベースは2,350mm、トレッドは前が1,308mm、後ろが1,300mm。乾燥重量800kg。
トランスミッションはシンクロメッシュの入った自社製4MT。タイヤサイズは前輪5.50×16、後輪6.00×16。
燃料タンク容量は140リットル。