○ 当時は100を超える万年筆メーカーがあり、その中にはキャップやバレル、ニブにペン芯と言った部品のみを制作し販売していた業者も多く、蒔絵師の中にはパイロットなどのメーカーから受注するのではなく、それらのパーツを購入して蒔絵を施して販売していたケースも多かったようです。この万年筆も春山師が直接販売していたか、店に頼まれて作っていたものと思われます。
○ ボトムの5段にも円柱をピラミッド状に重ねた造形など手業が冴えるエボナイトの削り出しボディーならではの優美なバレルに下地の黒漆を何度も塗り重ねた上に蒔絵を施し、その上からまた黒漆を塗り重ね、最も蒔絵が美しく出るまで磨き上げると言う手間も技術も要する研ぎ出し蒔絵で現実には無い黒薔薇が描かれています。蝋色仕上げの黒地に黒薔薇の取り合わせが幻想的な他にはない幽玄な世界を醸し出し、古さを感じさせない万年筆です。キャップには現実的な真紅の薔薇が生き生きと描かれ、バレルの妖しさを一層引き立てています。
○ インク吸入機構は当時の日本の主流であったバレルの内側全体をインク保持に使えるため大量のインクを貯められるインク止め式。時々プッシュ式と間違って説明されていますが、尾軸にはコルクなどの矢じり型の突起が付いており、尾軸をバレルにつくまで締めると、この突起がペン芯に繋がるインク吸入口を塞ぎ、バレルに貯めた大量のインクが気圧変化などにより噴出するのを防ぐものです。従って、筆記の前には尾軸を少しだけ緩めて突起を下げて、インク吸入口を解放してやる必要があります。また、インクは首軸をバレルから外して、スポイトなどを使って注ぎます。
注意事項:古い万年筆ですので、完品をお求めの方、神経質な方は絶対に入札をお控え下さい。ノークレーム・ノーリターンでお願いします。万年筆のみの出品ですが、保護を兼ねてクリア・コレクションケースに入れて発送いたします。
【商品の説明】
モデル名、メーカー:春山作「黒薔薇図」、メーカー不詳
カラー・材質:蝋色仕上げ金蒔絵(エボナイトに漆塗)、真鍮
インク補充方式:インク止め式アイドロッパー式
ペン先(ニブ):14金、字幅:F
サイズ:長さ:131mm(収納時)/最大胴軸径12mm、重さ:16.57g(素人計測)