【NUMBER (N)INE 2002SS “THE MODERN AGE” NIRVANA SMILE Tシャツ/宮下貴裕期/サイズ4/MADE IN JAPAN】
2000年代初頭、東京のファッションには、今振り返っても異様なほどの熱がありました。
インターネットで世界中の服を瞬時に探せるわけでもなく、SNSで発売情報が一斉に拡散されるわけでもない。欲しい服を見るために店へ行き、新作が入れば人が集まり、ときには列を作って服を買う。
その時代の東京で、熱狂の中心にいたブランドのひとつがNUMBER (N)INEでした。
宮下貴裕が手掛けていた当時のNUMBER (N)INEは、単に「格好いい洋服」を作るブランドではありませんでした。ロック、グランジ、パンク、文学、映画、アメリカのユースカルチャー。宮下自身が愛してきたさまざまな文化を服の中へ持ち込み、それを東京のファッションとして再構築していく。
現在では「宮下期」「オリジナル」「アーカイブ」といった言葉とともに語られるNUMBER (N)INEですが、本品が発表された2002年には、それらはまだ“アーカイブ”ではありません。
すべてがリアルタイムでした。
今回出品するのは、そんなNUMBER (N)INEが2002年春夏に発表した名シーズン、
「THE MODERN AGE」
のオリジナルTシャツです。
■ 2002SS “THE MODERN AGE”――1950年代ニューヨークへの眼差し
THE MODERN AGEを語るうえで重要になるのが、1950年代のアメリカ、そしてニューヨークを中心に広がったビート・ジェネレーション/ビートニクの存在です。
ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグらに代表されるビート・ジェネレーション。
第二次世界大戦後、経済的な豊かさとともに画一的な価値観が広がっていったアメリカ社会の中で、その既成概念から外れようとした若者や作家たちがいました。
文学、詩、ジャズ、旅、ボヘミアンな生活。そして「世の中が決めた正解とは違う場所に、自分たちの自由を探す」という感覚。
後のヒッピーやさまざまなカウンターカルチャーにも影響を与えていくその精神を、半世紀近く後の東京でNUMBER (N)INEが洋服へと置き換えていった。
それがTHE MODERN AGEというコレクションを見るうえで非常に重要な背景です。
だから、このシーズンのNUMBER (N)INEには独特の匂いがあります。
単純な1950年代ファッションの再現ではない。
ビートニク、文学、ニューヨーク、アメリカのカウンターカルチャーといった過去の断片を拾い上げながら、宮下貴裕自身が愛するロックやグランジの感覚まで混ぜ込み、それを2002年の東京で着る服へ変換している。
当時を知る方なら、あの熱狂を覚えている方も多いのではないでしょうか。
新作を求めて店頭へ足を運び、NUMBER (N)INEの服を見るために人が集まる。今のように20年以上前の服を「アーカイブ」と呼んで振り返っているのではなく、その瞬間に新しいコレクションが発表され、その服を手に入れようとする人々が実際に列を作っていた。
THE MODERN AGEは、そんな時代のNUMBER (N)INEです。
■ NIRVANAの“SMILE”を宮下貴裕のフィルターへ通す
そして本品のフロント中央に大きく描かれているのが、ブラックボディに鮮烈なイエローで表現されたスマイルフェイス。
ロックが好きな方なら、見た瞬間にその引用元を感じるはずです。
NIRVANA。
1990年代初頭、グランジ/オルタナティヴ・ロックを世界規模のムーブメントへ押し上げた存在であり、その音楽のみならず、カート・コバーンの佇まいやファッションまで含め、後世のユースカルチャーへ巨大な影響を残したバンドです。
NIRVANAを象徴するグラフィックのひとつが、あの有名なスマイルフェイス。
NUMBER (N)INEは、その記号をそのままコピーするのではなく、宮下貴裕らしい解釈で崩しています。
×印の目と大きく歪んだ口という元ネタを想起させる構造を残しながら、中央には奇妙に垂れ下がった鼻。円の輪郭も口元も均一ではなく、まるで誰かが勢いだけで描いた落書きのようです。
完成されていない。
綺麗でもない。
でも、だから格好いい。
この「元ネタが分かる人には分かる。でもそのままでは終わらせない」という距離感こそ、宮下期NUMBER (N)INEのグラフィックの魅力だと思います。
■ 1950年代のビートニクと1990年代のグランジ
さらに興味深いのは、THE MODERN AGEというコレクションの中に、このNIRVANAを意識したグラフィックが存在していること。
1950年代のビート・ジェネレーションと、1990年代のNIRVANA。
年代だけを見れば約40年離れています。
しかし、その根底にはどこか共通する精神があります。
既成の価値観に馴染めないこと。社会が用意した成功や幸福に疑問を持つこと。そして、自分たちの言葉、音楽、服、生き方を通じて別の価値観を探そうとすること。
1950年代ニューヨークのビートニク。
1990年代シアトルから世界へ広がったグランジ。
そして2002年、東京のNUMBER (N)INE。
異なる時代、異なる都市のカウンターカルチャーが、宮下貴裕という一人のデザイナーを通して一本につながっていく。
そう考えると、このスマイルTシャツは単なる「NIRVANA風のプリントT」では終わりません。
THE MODERN AGEというシーズンの思想と、NUMBER (N)INEというブランドが持っていた音楽への執着、その両方を一枚で感じられる作品です。
■ “バンドT風”で終わらないNUMBER (N)INEの作り
そして、このTシャツでもうひとつ見逃せないのが右脇部分。
小さなハトメが確認できます。
一見すると小穴やダメージのようにも見えますが、こちらは破損ではなく、当時のNUMBER (N)INEで採用されていたベンチレーションのディテールです。
こういうところが初期NUMBER (N)INEらしい。
単純に無地の既製TシャツへNIRVANAを思わせるグラフィックを載せて「ロックTシャツ風」に仕上げるだけなら簡単です。
しかしNUMBER (N)INEは、ボディそのものを洋服として作り込む。
首周りの表情、生地の質感、シルエット、そして一見すれば見落としてしまいそうな脇のベンチレーション。
プリントだけを見ればロックTシャツ。しかし細部を追っていくと、明らかにファッションブランドが設計した服である。
この絶妙な境界線がNUMBER (N)INEでした。
品質表示からCOTTON 100%、MADE IN JAPANを確認できます。
表記サイズは「4」。
古いNUMBER (N)INEを実際に着たい方にとっても嬉しいサイズではないでしょうか。
■ 20年以上を経て“アーカイブ”になった一着
本品が発売された2002年から、すでに20年以上。
当時、毎週のように店へ通い、新作を追いかけていた人たちにとっては少し不思議な感覚かもしれません。
あれほどリアルタイムだったNUMBER (N)INEが、今では世界中で「Japanese Archive Fashion」の文脈から掘り起こされている。
宮下貴裕が手掛けたNUMBER (N)INEは2009年にひとつの区切りを迎え、宮下本人はその後TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.へ。
だから現在、90年代後半から2000年代にかけて宮下本人がデザインしていたNUMBER (N)INEの作品は、現行品とは別の文脈から「宮下期」「オリジナル」として評価されています。
ただ、個人的にはこの時代の服を「希少なアーカイブ」という言葉だけで説明してしまうのも少し違うように思います。
この服が生まれた頃、NUMBER (N)INEはまだ歴史ではなかった。
東京の若者が新作を待ち、店へ行き、列を作り、手に入れた服をそのまま街で着ていた。
雑誌を読み、音楽を聴き、元ネタを探し、次のコレクションを待つ。
その一連の行為まで含めてNUMBER (N)INEというカルチャーだった時代です。
1950年代ニューヨークのビート・ジェネレーション。
1990年代のNIRVANA。
2002年の東京。
それらを宮下貴裕の感性で一枚のブラックTシャツへ閉じ込めたTHE MODERN AGEのスマイルT。
現在の視点から見ればアーカイブですが、これはもともと、ファッションと音楽が今よりずっと近い場所にあった時代に生まれた服です。
NUMBER (N)INEが好きな方はもちろん、宮下貴裕のデザイン、NIRVANA、グランジ、ビートニク、2000年代初頭の東京ファッションに惹かれる方にもぜひ見ていただきたい一着です。
■ サイズ
表記サイズ:4
肩幅:約45cm
身幅:約52cm
袖丈:約22cm
着丈:約67cm
平置きでの素人採寸ですので多少の誤差は御理解下さい。
■ 状態
2002年春夏「THE MODERN AGE」当時のオリジナル品です。
20年以上前のヴィンテージ/アーカイブ古着となりますので、着用や経年に伴う生地の風合い、色味、多少の使用感等はございます。新品・現行品とは異なる年代物としての特性をご理解下さい。
なお、右脇付近に見られる小さなハトメは破れや補修跡ではなく、当時のNUMBER (N)INEに見られるベンチレーションのディテールです。
その他、状態については掲載写真をよくご確認いただき、年代物の古着にご理解いただける方のみお願いいたします。
■ 発送について
ゆうパケット(匿名配送)にて送料無料で発送いたします。
東京都からの発送を基本としておりますが、仕事・出張等の都合により地方から発送する場合がございます。また夜間に発送手続きを行うことが多いため、郵便局での引受処理および追跡情報の反映が翌日になる場合がございます。あらかじめご了承下さい。
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落札後は24時間以内の取引情報入力、48時間以内のお支払いをお願いいたします。
新規IDの方、評価内容に不安を感じる方、悪い評価が目立つ方につきましては、こちらの判断で入札・落札を取り消させていただく場合がございます。
また、落札後の一方的なキャンセルや、長期間ご連絡・お支払いをいただけない場合など、円滑なお取引が難しいと判断した際には落札者都合で削除させていただく場合がございます。
2002年当時のアーカイブ古着となりますので、状態・サイズ・年代物特有の風合いを含め、商品説明および掲載写真をご確認・ご納得いただいたうえでの入札をお願いいたします。気になる点がございましたら、必ず入札前にご質問下さい。
最後まで責任を持って対応いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(2026年 9月 5日 15時 31分 追加)A72