エミール・オーギュスト・ウシャール(mile Auguste Ouchard, 19001969)は、20世紀フランス弓製作を代表する製作者の一人である。父エミール・フランソワ・ウシャールの工房で早くから製作に携わり、ミルクール期、パリ独立期、アメリカ滞在期を経て、各時期に応じた刻印と様式的変化を示した。特に1930年代以降、作風はより洗練され、1940年頃から1960年頃にかけての作品は、量感のある造形と高い演奏機能を兼備する代表的な時期と位置づけられる。
刻印は活動地および時期と密接に関係する。代表的な刻印として①「E.A. Ouchard Fils」②「E.A. Ouchard Paris」③「mile A. Ouchard New York」④「mile A. Ouchard」などが知られる。鑑定では、刻印の文字形、深さ、位置、押し圧、摩耗状態を確認し、後押しや偽刻印の可能性を排除する。刻印のみで真贋を決定せず、ヘッド、スティック、フロッグ、ボタンの工作と照合して判断する。本器は②「E.A. Ouchard Paris」見え難くなっていますが刻印たしかに刻まれています。
保存状態は市場評価および鑑定判断に直結する。ヘッドの割れ、チップの交換、スティックの折損・接ぎ木、反り直し、フロッグの欠け、フェルールやスライドの交換、ボタンの不一致、巻線および革巻きの更新履歴を確認する。修復がある場合は、修復箇所、範囲、技術水準、演奏機能への影響を具体的に記述する。本器は貝製のチップは交換していますが、それ以外は鑑定書に認めているようにオリジナル。鑑定書で「in the school of;」と認めてありますが、この頃の弓職人は一人で全て仕上げているケースはなく、削り担当、フロッグ担当等々「共同作業」で制作していたのでこの工房では弟子を現す「school」入れると申していました。