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キャンサーブッシュ
分類:マメ科レッセルティア属
学名:Lessertia frutescens
原産:南アフリカ
特徴:銀白色の繊細な葉に、鮮烈なオレンジレッドの花。そして花後には風船のように膨らんだ果実を付ける。南部アフリカの乾燥地帯に生きる、姿も利用の歴史も非常に個性的なマメ科植物です。
Lessertia frutescensは、南部アフリカを原産とするマメ科の常緑~半常緑低木です。「Cancer Bush」「Balloon Pea」などの名前でも知られ、乾燥した草原や低木地などに自生します。
樹高は1mを少し超える程度で、枝を横へ広げながら茂ります。大型の樹木にはならないため、鉢植えでも比較的扱いやすく、コンパクトなスペースで楽しめる植物です。
まず目を引くのが、銀白色を帯びた葉です。
細かな小葉が並ぶ羽状複葉で、株全体が灰緑~シルバーに見えます。乾燥地の植物らしい涼しげな葉色を持ち、花が咲いていない時期にも美しい姿を楽しめます。
そして、この銀色の葉の間から咲くのが鮮やかな花です。
花はマメ科らしい蝶形で、色は朱色~オレンジレッド。落ち着いた銀白色の葉に非常に鮮烈な暖色の花が組み合わさるため、小型の植物ながら開花時にはかなり存在感があります。
さらに面白いのが、花が終わった後です。
受粉した花からは、薄い果皮が大きく膨らんだ風船のような莢が形成されます。若い果実は淡い緑色ですが、成熟するにつれて赤みを帯びていきます。
銀色の葉、赤橙色の花、淡緑色から赤色へ変化する風船状の果実。
一株の中で「葉・花・果実」という三つの異なる観賞ポイントを楽しめることが、本種の大きな魅力です。
また、本種は南部アフリカで長い利用の歴史を持つ伝統的な薬用植物としても知られています。葉や地上部などが伝統的にさまざまな目的で利用され、「Cancer Bush」という英名もそうした利用の歴史に由来します。
ただし、伝統的に利用されてきたことと、がんやHIV/AIDSなど特定の疾患への治療効果が医学的に確立していることは別です。研究対象にはなっていますが、本種を疾病の治療目的で自己判断により摂取することはおすすめできません。販売上も「がんに効く植物」などと表現するのは避ける必要があります。
栽培面では、南部アフリカの乾燥地域を原産とする性質を理解することが重要です。
日当たりを好み、乾燥にはかなり強い植物です。日本で栽培する場合には、水不足よりも長雨や過湿に注意した方がよいでしょう。鉢植えでは水はけの良い用土を使用し、特に梅雨時には風通しを確保します。
十分な日照を与えることで株姿が締まり、特徴的な銀色の葉と花をより美しく楽しめます。乾燥気味の庭やロックガーデンにもよく似合う植物です。
耐暑性も高く、乾燥を伴う暑さにはよく適応します。ただし、日本の高温多湿は原産地とは性質が異なるため、盛夏には蒸れに注意します。
意外なのが耐寒性で、典型的な熱帯植物ではありません。栽培目安としてUSDAゾーン8以上とされることがあり、軽度の凍結にもある程度対応できると考えられます。ただし、幼苗や鉢植えでは地植えの成木より低温の影響を受けやすいため、強い凍結が続く地域では冬季の保護がおすすめです。
大きな花木でもなければ、派手な熱帯果樹でもありません。
それでも、銀白色の葉の中にオレンジレッドの花が現れ、その後に風船のような果実が膨らんで赤く染まっていく姿は、一度見ると忘れにくいものです。
南部アフリカの乾燥地に適応した独特な姿と、現地の人々との長い関わりまで含めて楽しめる、コンパクトながら非常に奥深い植物です。
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