吉村昭を知る3冊 ◆「吉村昭が伝えたかったこと」「戦史の証言者たち」「史実を歩く」

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不世出の作家・吉村昭の姿勢を知る3冊; ①「吉村昭が伝えたかったこと」、②「戦史の証言者たち」、③「史実を歩く」の3冊セット(文春文庫)です。状態は、全般にかなり良好です。送料は、クリックポストで185円です。

★内容: 
①「吉村昭が伝えたかったこと」: 457ページ。掘り起こした歴史の真実。現代を生きる我々に遺したメッセージ。
 グラビア 探求の日々 ――吉村昭の来た道
 〈歴史の見方〉 作家生活の原点、三陸で語った史実へのこだわり (宮古市)
 〈被災地に残された予言〉 災害と日本人(平成11年・田野畑村)
 〈現地ルポルタージュ〉 『三陸海岸大津波』を歩く 高山文彦
 〈名著熟読〉 美談を戒める  石井光太 ――『関東大震災』の凄絶なる光景
 〈徹底検証〉 警告の書『関東大震災』 武村雅之
 〈緊急寄稿〉 歴史はくり返す ――阪神大震災に寄せて
 〈ロング・インタビュー〉 
   ・「書くこと」と「書かないこと」 ――吉村昭と歴史小説
   ・津村節子 聞き手・構成:和田宏 「長い間に、字まで似てきた」
 〈名篇再録〉 星への旅
   田野畑村を舞台にした太宰治賞受賞作。ここから、作家生活が始まった
 〈異色対談〉 吉村昭/沢木耕太郎 「ボクシングに酔い、時代に出会った」   
 〈私が愛する吉村昭〉
   ・偉大なる大先輩  逢坂 剛
   ・『冬の鷹』の衝撃  関川夏央
   ・忘れられぬ「動く牙」  阿井景子
   ・寡黙な吉村昭さんの沈黙  山内昌之
   ・至福へと続く道  飴村 行
 〈史実へのこだわり〉 作家は自分の足で歩け  森 史朗
 〈人物へのこだわり〉 吉村昭さんが惹かれた十人  浅見雅男
   川路聖謨、小村寿太郎、ニコライ二世、輪王寺宮……
 〈旅、酒、肴 ~垂涎の随筆集〉
   ・いい肴と酒
   ・旅の夜
   ・宇和島への旅
   ・酒の楽しみ、そして、しくじり
   ・風のうまさ
   ・湯沢の町の準住民
 〈名作を読み解く〉 近代日本の自画像 長部日出雄 ――吉村昭の奇跡的な文学
 〈完全ブックガイド&年譜〉 吉村昭 ――人と作品  木村暢男編

②「戦史の証言者たち」: 吉村戦史文学の中核をなす貴重な証言集。すさまじい人的物的損失を強いられた太平洋戦争においては、さまざまな極限のドラマが生まれた。多くの戦史小説の名作を生み出してきた著者が、その綿密な取材の過程で出会った体験者ならではの貴重な証言を生の声で再現し、解説する。巨大戦艦の進水の秘話、連合艦隊司令長官の戦死とそれにまつわる隠された事実、沈没した潜水艦の悲劇とその引き揚げ時に現出した奇跡など、驚くべき真実の数々。

 1 戦艦武蔵の進水
   ・戦艦武蔵について
   ・世界造船史に類をみない進水を果した工作技師 大宮丈七氏の証言
 2 山本連合艦隊司令長官の戦死
   ・山本司令長官の戦死について
   ・長官機の護衛任務についた戦闘機隊のただ一人の生存者 柳谷謙治氏の証言
 3 福留参謀長の遭難と救出
   ・福留参謀長の遭難と救出について
   ・参謀長ほか8名の救出に成功した大隊長 大西精一氏の証言
   ・ゲリラから参謀長ほかの引渡しを担当した大隊副官 松浦秀夫氏の証言
   ・遭難した参謀長機の搭乗員 吉津正利氏の証言
 4 伊号第三三潜水艦の沈没と浮揚
   ・伊号第三三潜水艦について
   ・沈没時に救助された乗組員二名中の一人 小西愛明氏の証言
   ・救助された乗組員二名中の一人 岡田賢一氏の証言
   ・終戦後、同潜水艦の浮揚を成功させた技師 又場常夫氏の証言
   ・浮揚した艦の内部を写真撮影した新聞記者 白石鬼太郎氏の証言

③「史実を歩く」: 桜田門外の変の日、雪はいつ止んだか? ニコライ皇太子が長崎でお忍びで訪れた先は? 戦史小説・歴史小説を精力的に発表してきた著者は、その綿密な取材と細部へのこだわりでも知られる。作家はどのようにして素材と出会うのか、執筆にあたってはどのように調査を進め、いかにして歴史の“真実”に肉薄するのか ―― 作家の史実への姿勢を、失敗も含めて率直につづった、とっておきの「取材ノート」。
 ・「破獄」の史実調査
 ・高野長英の逃亡
 ・日本最初の英語教師
 ・「桜田門外ノ変」余話
 ・ロシア皇太子と刺青
 ・生麦事件の調査
 ・原稿用紙を焼く
 ・創作雑話
 ・読者からの手紙

★吉村 昭は1927年、東京生まれ。少年の頃から、肋膜炎や肺浸潤に罹病。1949年に胸郭成形手術を受け、左胸部の肋骨5本を失う。療養生活を経て1950年4月、新制学習院大学に入学。文芸部に所属し作家を志望するようになり、1952年、短篇を「學習院文藝」改称「赤繪」に発表。川端康成や梶井基次郎に傾倒する。同年、他の文芸部員と三島由紀夫に会い、改造社版「仮面の告白 その他」の署名入り単行本を贈られる。翌年、大学を除籍となる一方、北原節子(後年の小説家津村節子)と結婚。繊維関係の団体事務局に勤めながら、丹羽文雄や小田仁二郎の同人誌に短篇を発表。1958年、「青い骨」・「密会」で作家デビューを果たし、1959年に「鉄橋」、「貝殻」、続けて1962年に「透明標本」、「石の微笑」が芥川賞候補になるも受賞を果たせず、その代わり1965年に妻の津村節子が受賞した。その後、1966年に「星への旅」で太宰治賞。次いで長篇「戦艦武蔵」で作家的自立を果たし、1972年、「深海の使者」により文藝春秋読者賞。1973年、「戦艦武蔵」「関東大震災」など一連のドキュメント作品で菊池寛賞。1979年、「ふぉん・しいほるとの娘」で吉川英治文学賞。1984年、「冷い夏、熱い夏」で毎日芸術賞。1985年、「破獄」で讀賣文学賞および芸術選奨文部大臣賞。1987年、日本芸術院賞。1994年「天狗争乱」で大佛次郎賞。

 2005年春、舌癌と宣告され、翌2006年2月には膵臓癌の手術を受けた。退院後も短篇の推敲を続けたが、新たな原稿依頼には応えられなかった。同年7月、東京の自宅で療養中、看病していた長女に「死ぬよ」と告げ、自ら点滴の管と首の静脈に埋め込まれたカテーテルポートも引き抜き、数時間後に逝去、享年79。

 ◎作風:  初期は死をテーマにした緻密な光景描写の短編小説が多い(「星への旅」など)。その後の歴史小説では、徹底的な取材と検証、調査を基にして、人物の主観的な感情表現を省き緻密に事実のみを描こうとするノンフィクション・スタイルに特徴がある。江戸時代から現代までの事象・人物を題材とし、「戦艦武蔵」などで戦記文学ジャンルも確立した。1980年頃からは「多くの証言者の高齢化による死」を理由に、近代以前の歴史に軸を移すようになったが、磯田光一が「彼ほど史実にこだわる作家は今後現れないだろう」と言うように、フィクションを極力避け、例えば、江戸時代のある土地の特定年月日における天気まで旅商人の日記から調査して盛り込むなど徹底している。こうした著作スタイルが、多くの読者に「どの吉村作品も面白い」と支持される理由の一つであろう。

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