「Columbia Records」への2枚目の作品。トリオ、カルテットで演奏された作品はその後、モンク・スタンダードとして、モンク自身のみならず、多くのジャズメンによってカヴァーされ、さらに本作のタイトルから取られた(?)レーベル「Criss Cross」「Crepuscule」さえ生まれた。60年代前半のモンクは実は非常にアヴァンガルドが演奏を“隠れて”演奏しており、メジャーColumbiaを上手く欺きながら、骨のある演奏を展開している。他のメンバーも他の演奏とは違うモンクの魔術に操られるようにアグレッシブな側面を展開する。中ではチャーリー・ラウズ、つい前後にはブルーノートでボサノヴァ、ソウルジャズを演奏していた同じ人間とは思えない、トリッキーで破壊的な側面を見せ、モンクを“喜ばせる”。当時のモンクは黒メガネをかけた体躯でいかにもアヴァンガルドだった。その意味では真のアヴァンガルドはモンクだったといえるかもしれない。また、モンに特有な「曲=演奏」というパターンから言えば“Crepuscule With Nellie”はその最たるもので他の追随を許さないOne And Onlyだった。