東京アウトサイダーズ ロバート・ホワイティング 松井みどり訳 2002年 4月初版発行 帯付き 使用感なく美品です

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戦後日本の発展史を裏社会から生々しく描き出し、ベストセラーになった『東京アンダーワールド』。その続編である本書は前作に盛り込めなかった逸話や新たに収集した資料をまとめたものだが、テンションの高さは前作にひけをとらない。むしろ興味深いエピソードや個性的な人物に焦点を当て、性風俗や闇社会の実態に踏み込んだ本書のほうが、読みやすさでは勝るかもしれない。前作を読んでいなくてもおもしろく読める(そして読んだあとは、前作を読みたくなるに違いない)。
なにしろ終戦直後のGIの生態や、ヤミ商売のあきれた手口、多国籍の売春婦、大胆不敵な詐欺師たち、怖いもの知らずの多国籍ガイジンヤクザなど、好奇心をそそる「ネタ」ばかりだ。

とくにエバ・ガードナーと浮き名を流した伊達男のナイトクラブ店主ウォリー・ゲイダ、児玉誉士夫と組んでカジノを経営した元戦争捕虜テッド・ルーイン、事実上国際的なデートクラブだったハンバーガーショップを経営したニューヨークの元警官ダニエル・スタイン、六本木に嵐を呼んだ水商売の天才マギーなど、戦後の動乱期の東京で暴れまくったキャラクターは実に魅力的。その背景にある混沌とした社会のエネルギーも伝わってくる。

だが本書は、不良ガイジンの痛快な犯罪実録集にとどまらない。著者は1957年のジラード事件から沖縄での米兵の犯罪やえひめ丸事件にいたる日本と米軍のゆがんだ関係を描き出す。脚光を浴びたルーシー・ブラックマン殺害事件の裏にひそむ、外国人女性の人身売買にも光を当てる。好奇心をそそる数々のエピソードを積み重ね、日本の最も深い暗部── 闇社会の実態、政財界との癒着構造を浮き彫りにしていく。日本に根を下ろした外国人の目から見た日本社会の印象も実に興味深い。